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  • ヒロ
  • 2011年11月02日 10:00

守勢に廻るDeNA

このブログで時々、携帯ゲームプラットフォーム業界のDeNAとグリーについて書かせていただいています。理由は日本で注目されている業種であり、日本発のエンターテイメントを世界に繰り広げるためにこの両社がお互いに激しいライバル心を燃やしながら切磋琢磨しているところに業界戦略のみならず、ビジネス戦略の縮図がはっきり見て取れるからです。

その中で11月1日はその優劣がはっきり出てしまった日といえましょう。その前日である10月31日にグリーは12月決算予想が売上げ、利益とも4−50%の増益になると発表し、業績の強さを裏付けるものとなりました。しかも、海外事業の収益は反映しておらず、固めの見積もりとなっています。

一方、同じ日に第2四半期決算の発表をしたDeNAは純利が25%増となったものの事前予想のコンセンサスを下回った上に第1四半期より純利は13%減となっています。これがDeNAの成長神話に疑問符がついた形となってしまったのです。

実際、注目された1日の株式市場では投資家の反応が見事なぐらいはっきり出ました。グリーは寄り付き後29分で6.8%以上高い上場来新高値を更新したのに対しDeNAは9時33分に前日比で20%以上安いストップ安で寄り付き、その日の終値もストップ安売り気配となりました。

記事ではDeNAの球団経営に対してネガティブになったという解説もあります。

僕はDeNAの守安功社長の経営の舵取りを疑問視しています。同社は南場智子氏が築き上げたのですが、今年の6月に個人的理由で代表を辞任。後任に守安氏がついた経緯があります。球団経営を強く推し進めているのは守安氏。が、なぜ、モバゲーに球団経営が必要か、という点に関しては単なる知名度向上のため、という事であればそれは経営判断上微妙なところではないでしょうか?

まず、モバゲーの利用者と野球ファン層の年齢層にずれがあります。ご承知の通り、野球はどちらかというとひと昔前の国民的スポーツで今はどちらかというとサッカーの方が若者には人気があります。モバゲーは利用者の主体層は10代から20代であり、この点でマーケティング上、合致しない事には注目すべきでしょう。

次に球団所有を通じた知名度向上はマーケティング上、日本全国レベルで広範囲の年齢層に効果的であります。読売新聞やソフトバンク、楽天というのはその点で正しい戦略であります。一方、携帯ゲームには当然勝ち負け要素が取り込まれるわけで横浜DeNAベイスターズ(仮称)が嫌いな場合にはグリーに客が流れるというライバルにエールを送る効果が出てしまうこともあるのです。要は巨人と阪神の様な関係です。

一方、グリーの田中良和社長。最近は日本の代表的IT業界人の風格も漂っていますが、彼の事業戦略はあくまでも本業推進。そして、国内市場が飽和気味になることを見越して海外戦略はDeNAより先んじています。この点においても両ライバルの比較においてはグリーの優位性が高まっています。

折りしも11月1日の株価はグリーが一瞬DeNAにほぼ並ぶという状態が生じました。株価はDeNAがグリーのざっくり2倍ぐらいの水準で推移してきましたからある意味、象徴的な日であったわけです。

野球を知名度向上のマーケティング手段としたDeNAは利益率の伸び悩みの一つにに内製型のゲームが少なかったことが起因しています。この業界はゲームを内製と外注したものの組み合わせで内製の方が当然、高い利益率になります。グリーは内製化が順調に推移しています。このあたりから考えると守安社長は野球より本業をもっと色濃いものにしないとグリーとの差は歴然としたものになってしまう可能性があります。

最近の経営判断と市場の判断という点で非常に面白い実例であったと思いますので私見を含めて書かせていただきました。

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