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  • ヒロ
  • 2011年09月17日 10:00

ギリシャ問題、「その後」を考える

この数日、ギリシャ問題が再び盛り上がっています。週の初めには海外の金融市場ではギリシャのデフォルトの確率を98%と予想するところまででて、10年物の国債も25%を越える水準まで上がり、到底常識的な状態ではありませんでした。そこでドイツ、フランス、ギリシャのトップが電話会議を行い、「ギリシャはユーロの仲間だ、がんばれ」というメッセージを送り、9月16日のEU財務相会議に繋ぎました。

会議の内容は正直、微妙です。一枚岩の結果が出ていないばかりか、ひと月様子を見る、という内容になっています。

フランス、ドイツはギリシャ問題を丸く治めるために躍起になっておりますが、僕はフランスやドイツの銀行等が抱えるギリシャ向け債権の大きさからくるデフォルトした際の金融危機が最大の懸念材料であると考えています。常識的にはギリシャはもはや救える状況にはないのですが、潰すと世界中に金融の大激震が起きることが容易に想定されるため善後策を早急に取り、時間稼ぎをしながら「ポストギリシャ問題」の対策を立てる方向に目線が移っていると見ています。

それを論じる前に数日前、問題国の一つとして槍玉に上がっているイタリアに対して中国が大々的支援をするのではないか、と報じられました。その後、温家宝首相が「西側諸国は中国による救済に頼るべきではない」と発言し、手助けはするがあくまでも他力本願はダメ、と釘を刺しました。それぐらい中国の存在は大きいということです。

さて、ポストギリシャ問題ですが、まず、デフォルトは個人的には本来ならいつでもおかしくないはず、と考えています。タイムテーブル的には9月末に11ビリオンドルの期限が来るため、これが乗り切れないと10月中旬にキャッシュショートすると見られていましたが今回の財務相会議でここはどうにか目処をつける方針のようです。一方でIMFの会議がこの週末で当然それなりの議論が行われるわけですから、週明けの動きも注目です。

今回乗り越えたとしても12月のハードルは相当高く、ウルトラC級の技がない限りユーロ全体の和を作りきれないと思います。もう一つはフランス大手銀行の格下げをトリガーに調達コスト高から生じる「民間からの悲鳴」というファクターも考慮に入れなくてはいけないでしょう。ギリシャ向け債権の処理も銀行により5割から2割までまちまちであり、この辺が強制的に処理されるようになれば銀行が先に参ってしまいます。

では、ポストギリシャ。デフォルトした場合、ユーロ脱退が認められるか、これが一つの疑問です。脱退の条項がない以上、ユーロ圏の各国がどうこれを処理するか、その判断は簡単に出ないでしょう。

更に「成績不良者の退学」が公に議論されることで退学者が続出する危険もあり、ユーロそのものの基盤が大きく揺らぐというスペキュレーションが起きることになります。当然ながらこれは通貨ユーロに対する大きなチャレンジとなり、結果としてシーソー関係にある米ドルが買われることになります。

日本円がもっと買われるのではないか、という考えもあるかと思いますが、基本的にはドルが強含めば円は安くなります。当然、金もドル建ては安くならざるを得ない、ということでしょう。しかし、これはあくまでも机上の流れであり、実際には米ドルを好んで買いたい状況にもないと思われます。

アメリカの経済指標は引き続きろくな数字が出ていませんので長期的な世界レベルでの景気後退が止められないとことになります。1930年代大不況と同レベルの長期にわたる深い落ち込みを予想する経済学者もいます。

むしろ、ギリシャが仮にユーロ脱退をして新ドラクマによる「自主国家運営」に戻れば、一時的に厳しい状況が生じますが、輸出競争力を取り戻しますので長期的にギリシャが得をしてドイツ、フランスが損をした、などという奇妙な事態もないとは言えないのかもしれません。

市場では今後の予想が極めて難しく、キャッシュポジションを高めに、という声があちらこちらから聞こえてきます。日本ではギリシャ問題は欧米に比べて大きく取り上げられず、また、遠い国の話というイメージがあると思いますが、シートベルトをしっかり締めて、来るべき時に備えたほうがよさそうです。

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