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時給500円で働く霞が関の国家公務員、窓から飛び降りた方が楽と思わせる不眠不休の霞が関不夜城

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私が企画・編集した「霞が関で働く国家公務員座談会」の一部を紹介します。

霞が関で働く国家公務員座談会
霞が関不夜城で3千人が過労死の危機
 A省Tさん(男性)
 T省Nさん(女性)
 N省Fさん(男性)
 Y省Yさん(男性)
月刊誌『KOKKO』2016年1月号[第5号]


年間50日職場に泊まり込み、加えて50日が日付変わっての帰宅

T 職場の部署ごとに忙しさは違いますが、どの部署でも一番忙しいのは、予算対応と国会対応をしている時ですね。本省は法令、制度を作っていくところなので、上司も含め成果を出そうとすればするほど仕事は増える。加えて予算を通すためには財務省と国会議員への対応が必要ですし、地方自治体からも要望がたくさん来るのでその対応も必要になります。そのスケジュールに余裕があればあったで準備量がどんどん増えて、逆に余裕がない時は夜を徹することになる。政策的な部分では、何もない状態から一つのものを作っていくものもあり、さまざまな調査と勉強に多くの時間を取られます。

本省は全体的に人が足りない。特に若い人が少ないのです。上ばかりが多くなって下が少ないと、命令する側の人はいっぱいいるのに実際の作業部隊が薄くなる。やはり、手を動かす人を増やす必要があると思います。

いちばん残業が多かったときは、1年間で職場に泊まり込んだのが50日ぐらいあった上に、日付が変わっての深夜帰宅も50日ぐらいありました。やはり国会対応と予算編成作業の時期が忙しくなって、それぞれの資料づくりとさまざまな対応に負われて職場に泊まり込むことになる。午前2時、3時を過ぎるとタクシーで帰宅したとしても睡眠時間を確保することもできなくなってしまいますからね。

残業代は3分の1から4分の1程度しか出ない

――残業代は出るのですか?

T その時期で30~40時間ほどの残業代しか出ていませんでしたから、多くて実際の残業時間の3分の1、少なくなると4分の1程度しか残業代が出ないということになりますね。本省の残業代の扱いは各省庁はもちろん同じ省庁でも部署ごとに違いますので、部署が変わって実際の残業時間が減ったのに残業代が増えたなんていうおかしなことも起こっています。

私は上司や職場の仲間に恵まれたので今までやってこれたと思うのですが、上司や職場の仲間に恵まれず、上司からの上意下達で振り回される残業を強制されると多くの場合、うつ病などのメンタル疾患へという霞が関不夜城の最悪の悪循環の中へ放り込まれる感じがしていますね。

時給500円になり「コンビニでバイトした方がいい」と家族に言われた

N 私は回りに振り回されている典型です。月の残業は80時間ほどあり毎日辛いです。家にはただ寝に帰るだけで真夜中に夕食を食べて、すぐに寝てすぐに起きて仕事に行くという生活を繰り返しています。

海外との対応が必要な部署にいるので自分の語学能力も駆使できる部分もあるのですが、それも事務的な内容なので、自分がいなきゃと思ってやっているわけではありません。係長ぐらいになると「自分がいないと仕事がまわらない」と思えて、まだやりがいがあるのかなと思います。

私の今の仕事は、上司が決定を早くしていろいろムダで非効率な業務を見直せば、残業を随分減らせるだろうと思うことがたくさんあります。でも仕事の仕方が改善されない限り、残業せずに無理矢理早く帰っても、後から困るのは自分なので早く帰る意味もない。海外対応があって時差があるために他律的になるのは仕方ありません。海外の先方の都合で電話会議を遅くやるとかはしょうがないのですが、日本政府の閣僚や有識者、国会議員との打ち合わせが20時に始まって22時に終わることなどもあり、何が「ゆう活」なのかと思いますね。日本政府が「ゆう活」を言うのならこうした夜遅い会議を真っ先になくすべきだと思います。

残業代は部署ごとに違うので、たとえば同期の同僚は私より残業が少ないのですが、残業代は私より多かったりします。私より残業していないのに、どうしてそんなにもらっているんだろう、不公平だと思う。私の残業代を計算すると、忙しい月は時給500円になるときもあって、家族から「そのへんのコンビニでバイトした方がいいよ」と言われてしまったほどで、霞が関不夜城はブラックバイトより酷い実態だと思うのです。

係長は土日も出勤しています。私が金曜日に終電で帰って月曜日の朝9時に出勤すると、係長からの仕事のメールが100件ぐらい来ています。金曜日に終電で帰ったのに、週の頭からどうしてこんなにメールチェックをしなきゃいけないのかとイヤになります。

残業減らすための退庁目標時間が23時

毎朝その日の予定を確認しあって残業を少しでも減らそうという取り組みがあるのですが、係長は退庁の目標時間をいつも23時に設定しています。その23時の目標も守れず終電に間に合う24時半頃職場を飛び出すという毎日で、それで午前9時には毎朝出勤している。その係長は、3日とらなければならない夏休みを2日とった時でさえも、日曜日に普通に出勤していましたね。

そういう上司と、私生活も充実させたいという私のような人が一緒に働いているので、それが精神的につらい。実際、今の部署に来てから、睡眠不足のせいで偏頭痛の発作やじんましんが出て体調を崩すようになりました。

F 定員が毎年減らされていて非常勤職員が増えていますが、正規職員は毎日終電に間に合えばいい方というのが実態です。国会対応がある時期などは、昼間よりも真夜中の方が職場がにぎやかだったりして異常な雰囲気になっていますね。

Y とりわけ若い人の残業が多いですよね。きょうの座談会参加者も若い方ばかりで長時間残業に苦しめられている。職場を見ると毎年の定員削減で若い職員が少なくなっているので実働のところが薄くなっているのと、かといって上の世代も忙しいから下の世代に仕事を教えている時間が物理的に取れなかったりする。結局、悪循環で残業が膨らんでいく。若い職員が今まで全くやったことがない仕事を突然ふられて、その仕事が分かる人を探すことから始まり、直属の上司は忙しくて質問すらできないので、他の部署の同期をつてに知っている人間にたどり着ければまだいい方で、多くの場合、仕事が分からないままやらざるをえなくて毎日夜遅くまで残業して土日出勤は当たり前になってしまう。そんな職場実態なので、最近辞めていく若い人が多い気がします。若い人が結婚したり、子育てのことを考えたりすると、「もうここにはいられない」と思うのは無理もなくて、東京23区や市役所、または自分の地元の県の県庁を受け直す人が増えていますね。優秀な人材が流出しています。

N 私も地方公務員に転職した方が残業が少なくていいんじゃないかと思って調べたりしていますね。

Y 同期でそういう人が出てくると自分もと考える人がいて、これは本当に悪循環だなと思います。

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