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ボブ・ディランに学ぶ起業家への教訓

※この記事は2012年9月13日に掲載されたものです。
                * * *

 偶像視される作詞家で詩人でもあるボブ・ディランを無意識に起業家だと考える人は少ないだろう。しかし、彼は実際そうで、しかもやり手だ。彼は「ボブ・ディラン」というブランドを50年前にゼロから築き上げ、頂点まで押し上げた。

 ディランはフォークシンガーとしての成功を決意して、ミネソタ大学の2年生の時に学校を中退した。ディランは1961年1月にミネソタ州を離れ、ニューヨーク市のグリニッジビレッジに到着した。コネは全くなく、お金もほとんど持たずに。

 ディランはすぐに有名になった。1年以内に、当時の音楽の巨匠の1人、ハリー・ベラフォンテとのレコーディングでハーモニカを演奏してニューヨーク・タイムズ紙に絶賛され、大手のコロンビア・レコーズとのレコーディング契約を獲得した。

 今年(2012年)は、ディランの米公民権運動の不朽の賛歌とされる楽曲『Blowin’ in the Wind』(邦題:風に吹かれて)の作詞から50周年となる。(コロンビアをしばらく前に買収した)ソニーミュージックは11日、ボブ・ディランの新作スタジオ・アルバム「Tempest」(テンペスト)を発売した。ディランにとってこれは35枚目のスタジオ・アルバムだ。生産性とはまさにこのことだろう。

 以下はディランの成功と失敗の例から得られる起業家向けの5つの教訓:

自分のやっていることに常に情熱を傾ける

 自分が作り出すものに熱中しているときには、仕事こそが重要だと感じるだろう。そのことが、うんざりしたり意気消沈するような日々を乗り越える助けとなる。ディランは世界中で年間約100回のコンサートをこなす。もはや、お金や、ポップカルチャーの歴史の中で地位を確立するための名声も称賛も必要ないだろう。しかし、彼が自分のやっていることを情熱的に信じていることは明らかだ。

常に大局を見てあぶく銭の罠を回避する

 自分自身のための作戦を練る――途中で手を加える必要が生じるにしても。ディランは2004年に執筆した見事な自伝『Chronicles, Volume One』のなかで、古くからの友人でポップ歌手のボビー・ヴィーと1961年にニューヨーク市で会った時のことについて書いている。当時、ヴィーは成功の波に乗ったポップ・ミュージックのプリンスで、ディランは人気が出かけのみすぼらしいフォークシンガーだった。その時の友人を見て、ディランは自分が正しい方向に向かっていると確信した。ディランはフォークシンガーとしての自身のビジョンを忠実に守り、素晴らしい成果につながった。ディラン自身がかつて、「Don’t go mistaking paradise for that home across the road.」と歌っていたように。

波風を立てることを恐れるな

 「フォークシンガー、ボブ・ディラン」として知られる製品は65年に全盛を極めていた。ディランの米国や英国でのコンサート・チケットは売り切れ、若者たちは彼を「時代の代弁者」と呼んだ。しかし、ディランはそこで立ち止まることなく、成長と変化を追い求めた。ロックンロールのバンドを携えてレコーディングやステージを始めようと決心した。彼の純粋なフォーク・ファンは当初、愕然とし、65年と66年に実施した世界ツアーでは、ディランの新たな試みに会場のいたるところでブーイングが起こった。それでもディランは自身のビジョンを維持し忠実に守り続けた。そしてついにファンも同調するようになった。要するに、ディランは波風を立て、大改革を行うことを恐れなかった。

他人から刺激を求める

 ディランは駆け出しのころ、ウディ・ガスリーといった自分と同じようなシンガー・ソングライターに刺激と英知を求めた。80年代までには、創造面で休閑期に入っていて、今一度、刺激を得られる人々を見つける必要があった。トム・ぺティ・アンド・ザ・ハートブレイカーズやグレイトフル・デッド、トラヴェリング・ウィルベリーズと組んでみた。結果はというと、89年のアルバム『Oh Mercy』はそれまでの10年間で彼の最高傑作ともてはやされた。

基本に立ち返る時期をわきまえる

 最も熱心でエネルギーにあふれた起業家でも遅かれ早かれ壁に突き当たる。これは避けられない。こうした種類の挫折をいかに勝利につなげるかが問題だ。その答えは、基本に立ち返り、そもそも何に背中を押されたのかを思い出してみることだ。ディランの90年のアルバム『Under the Red Sky』は酷評され、売り上げも散々だった。そのアルバムのリリース後、ディランはマリブのホームスタジオに戻り、10代のころに演奏していたアコースティック楽曲のアルバムを2枚、レコーディングした。このことをきっかけに正しい軌道に戻り、オリジナル曲を集めた次のアルバム『Time Out of Mind』(タイム・アウト・オブ・マインド)は98年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞した。

(筆者のジョン・フリードマン氏は2012年8月7日にペンギングループから出版された『Forget About Today: Bob Dylan’s Genius for (Re)invention, Shunning the Naysayers and Creating a Personal Revolution』の著者)

By ジョン・フリードマン

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