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雇用統計にみるアメリカの将来

工場でおびただしい作業員が黙々と仕事をしているシーンはいまや、いまや中国でも減りつつあります。ましてやアメリカにおける労働集約などというものは白黒の画像でしか拝めないかもしれません。

アメリカで労働集約の典型だったデトロイトの自動車産業は黒人などの重要な雇用受け入れ先としてアメリカ国内経済を底辺から支え続けました。が、2008年の金融危機で大手3社のうち2つが倒産し、過去の清算を余儀なくさせられ、今はまったく新しい企業として生まれ変わりました。そこには労働集約という言葉はもうありません。

僕が1980年代初頭アメリカにいた頃、金曜日と月曜日に作った車は買うな、と言われていました。金曜日は週末を控え、気分がうきうきして仕事が手につかず、月曜日は気持ちがブルーで仕事に力がはいらない、という理由でした。逆に言うとそれだけ仕事にマンパワーを要していた、ということでもあります。

が、アメリカは機械化を進め、製品の品質の均一化を計りました。アメリカの車を日本の専門家がみれば酷い評価を下すのでしょうけど、30年もアメリカの車を見続け、そのうち、10年以上はアメ車に乗り続けた者としては機械化に勝る品質安定化はなし、と言いたくなるぐらい立派になりました。

では労働者は何処に行ったのでしょうか?

オフィスの機械化、コンピューター化も進んでいます。経理の作業も営業事務の作業も人手は少なくてすみます。もちろん、IT産業といった代替産業がでてきていますが、かつての労働集約型産業のような人材吸収力はありません。

結果として7月8日に発表された6月の雇用統計は僕から見ればやはりこの程度か、と思わせるものでした。雇用統計の結果が発表された瞬間、速報で「Ugly, Ugly Ugly!」とでたタイトルはいかに専門家が雇用統計に期待を寄せており、どれだけ裏切られたか、その気持ちが表れています。

組合に守られた労働者は自分の職を守ることには秀でていいますが、新たなる職を生み出すほうについては得手としていません。少なくともアメリカの労働市場が縮小する中で組合の力が強くなり続ければ続けるほど経営側は従業員の流動化など採用に関して保守的にならざるを得ません。また、アメリカの1/4のビジネスは海外投資を通じて国外で稼いでいます。

これはとりもなおさず、アメリカでは産業の空洞化がずっと前から起きている、ということです。

今回の雇用統計に関し、日本の震災によるサプライチェーンの問題を原因の一つにあげ、8月以降の回復を見込んでいるようです。僕には疑問です。むしろ、日本の震災を理由にしている節があるとみています。

もちろん、アメリカの雇用がこのまま落ち込むとは言いません。人口が健全に増えている以上、内需はそれに呼応するように成長するわけであり、サービス産業を中心に雇用は増減を繰り返すでしょう。が、数年後には失業率二桁が定着する可能性はあります。企業は何処ででも稼ぐ手段を持っていますが、労働者は移動の自由が少なく、採用側の都合に甘んじなくてはいけないのです。財政の問題が役人の削減も招くはずです。

狩猟時代、男は猟で獲物を捕らえられなければ飢え死しました。猟で獲物を取るのは一つの技術です。死に物狂いで頑張って獲物を確保し、家族と共に分け合いました。今、個人能力はコンピューターに取って変わってしまいました。自分を売り込めなくなったとき、競争社会では生きていけなくなる、ということをアメリカ人は学ぶときが来たようです。でも同じ言葉は日本人にもそっくり返すことが出来るということも最後に付け加えておきましょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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