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  • ヒロ
  • 2011年07月02日 10:00

自治を見直そう

東京のマンションに住む理由の一つに隣人との非接触化ということが挙げられます。皆さんもマンションでお隣さんが誰であるか知らないケースが多いのではないでしょうか?むしろ、自分をディスクローズしなくてよいので東京に住む、という方も多いと思います。

これは昔の日本の典型である部落社会、ムラ社会からの反動であることは容易に想像できます。プライバシーがなく、共同責任体制を敷いていた古い日本の社会は工業化の波と共に人間関係すら一気に変形させてしまったわけです。

が、それからすでに数十年の年月が経ち、都会における老若男女の孤独化がコミュニティ形成において大きな弊害になりつつあるという認識も出てきました。しかも高齢者に多い傾向だと思います。2010年の国勢調査の抽出速報によれば高齢者の10人に1人は1人暮らしです。

一方で20代から30代の若者はシェアハウスに新しいライフスタイルを求めます。何故でしょう。寂しい、そして、時間をシェアしたい、一緒に楽しみたい、だが、あくまでもライトに、ということでしょう。だから、プライバシーが保てる部屋、そして、皆で楽しめる場所を二本立てで提供できる住居がそれを満たすのです。

村八分の残り二分といえば火事と葬式であり、それだけは何があっても欠かすな、という意味合いでもあります。が、最近、葬式を欠かすことを正当化する話を聞くことが多くなってきました。それは妙な近所への気遣いでした。よく知らない近所の方が亡くなったという理由のみでの葬式は遠慮しようというのです。その心は「香典と香典返しでカネがかかる」です。

僕はそこですかさず聞き返しました。ご家族の方へのお悔やみとは葬式にいって香典を置いてくることでしょうか、と。僕は200円のカードに心のこもったことを書いて送るだけでも意味があると思うのです。ですが、日本では形式を重んじます。冠婚葬祭ではいくら包むか、その標準額たるものがあらゆるところにでています。ほとんどの人はそれらの「良識ある大人の作法」と称する虎の巻で冠婚葬祭を機械的に「こなす」わけです。

僕は日本にたまに行くたびに思うことがあります。「日本人は冷たくなった」。その理由は世の中が荒んでいて自分のことで精一杯、面倒なことはごめん、というわけです。

カナダ建国記念日の今日、街中はお祭り騒ぎです。僕の住んでいる建物では住民が皆でカナダの国旗を窓に飾ろう、と声を掛け合い、ほぼすべてのアパートの窓にはカナダの国旗が張ってあります。そしてその下の商店のウィンドウにも隣のホテルにも、その横の駐車場にもカナダの国旗を飾り、皆で協調しています。誰一人、異論を述べる人はいません。

ちなみにこのアパートでは自治が発達しています。各フロアには自治責任者がいて、一日に何度か、各フロアを見回ります。また、階段や駐車場なども一日に何度となく、見て廻り、異常がないかチェックしています。僕から見ると住民がボランティアベースでここまできちんと管理できたらそれこそ外部の管理人など必要ないと思ってしまいます。

日本にはモノが溢れ、豊かになりましたが周りを見渡す余裕がなくなってしまいました。そして、本当にあるべき人間関係が一定の枠にはめられてそれからはみ出すことを良しとしない融通の効かない社会に変わりつつあります。

若者は疑問を感じ、人間関係を再び求めようとする動きが出てきました。コンピューター化が進みすぎた反動かもしれませんが、日本が今後必要なのは自分より他人を労わる余裕なのかもしれません。

長くカナダに住んでいて何故ここが心地よいのか、その理由は人間関係にあるのかもしれません。

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