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「ルポ・貧困女子」を読む

岩波新書の新刊「ルポ・貧困女子」(飯島裕子)を読んだ。書店の立ち読みで、帯紙に書いてあった「アラフォー/非正規/シングル/子どもなし~気がつけば、崖っぷち」というキャッチ・コピーが強烈だった。現代日本の抱えている深刻な問題が、それだけでわかった。著者は記者・編集者の出身で、学者として書いているのではない。インタビューを重ねた実感を基礎として書いている。

 正規の雇用が減って非正規の仕事が増えている。就職の機会が男女平等になりつつあるとは言っても、女性が男性よりも有利ということは決してない。就職は、運によっても大きく左右される。たまたま卒業年が「就職氷河期」のどん底だったりすると、正規雇用の入り口は狭くなり、女性は後回しにされやすい。一度新卒で非正規雇用につくと、正規雇用を得る可能性は年ごとに厳しくなる。

 就職に失敗した女性は、そのまま親の家にいても、あまり目立たない。家事の手伝いをしながらパートの仕事にでも出ていれば、周囲も本人も、なんとなく落ち着いてしまうことがある。昔のことを考えれば、娘は親の家事手伝いをしながら、花嫁修業をして「良縁」を待っていればいいのだった。だが、男の就職事情も厳しくなっている現代で、「玉の輿」の専業主婦を求めている男性は多くはないし、女性の方にも結婚だけが人生の目的だという価値観は薄くなっている。よく「女性の方が人生の選択肢が多い」と言われるが、それを裏返せば、女性はうっかりすると「気がつけば、崖っぷち」になりやすいのだ。

 家庭というセーフティーネットも、今では万全でなくなった。親の老後生活が不安定だと、成人して同居している娘は逆に家計の責任者になって、非正規雇用の掛け持ちをしなければならなくなったりする。そうなったら自分の結婚や子育てなどを考えてみる余裕もない。

 この本が訴えているのは、今の日本の社会政策の中で、とくに立場の弱い女性が貧困労働に苦しめられている実態である。その中でもシングルで子育てをしている女性を含めて、公的な相談窓口から生活保護によって救われた事例が多いのが印象的だった。「生活保護」を受ける立場になることに抵抗を感じても、それを利用することで窮地を脱し、生活の立て直しに結び付けている女性が少なからずいるのだった。公的な保護制度を利用することは恥ではなくて権利なのだ。「世間の目」が、もっと生活保護受給者に対して温かくあるべきだということを学んだ。

 貧困女子は目立たないが確実に増えている。このままで日本の人口が増えるわけがない。生活保護は大切だが、そこへ行く手前での「生きづらさ」を解消しないことには、この国に未来はないだろう。貧困女子の存在は、社会政策の転換を促す警告として受け取らなければならない。現政権の「一億総活躍」スローガンが、いかに空虚で欺瞞に満ちているかが、よくわかる。

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