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「搾取工場」とチャイナ・リスク

 『中国経済網』に「血汗工厂频被曝光 涉GUCCI耐克苹果等品牌」(血の汗工場暴露 グッチ、ナイキ、アップルといったブランドも)という記事が掲載されており、いろいろ興味深かったので、今日はこれについて少し。

1 グッチ深圳店

 この記事は元々、深圳にあるグッチの旗艦店で働いていた5名の方が辞めた後にグッチに対して公開質問状を提出したことをメインにしたものです。

 その質問状によると、職員に対する規定は100を超えており、その中には多くの生理的欲求に関するものもあったとしています。例えば勤務中水を飲みたいとなると上司にことわらなくてはならず、トイレに行くにも許可が必要で、時間も5分以内と制限されていたそうです。

 また1日に10数時間も立って勤務をしなくてはならないため、これまで多くの妊娠していた職員が流産してしまったこともあると主張しています。

 それ以外にも、商品が盗まれると連帯して賠償する必要があり(給料天引き)、ひどい時は結婚休暇をとって休んでいる間に盗まれた商品に対してまで、給料から引かれたこともあったそうです。しかし、実際会社は商品に対して保険をかけているはずだと批判しています。


2 その他の事例

 おそらくこの公開質問状だけを見て記事を書こうと思っていたものの、多少分量が足りないということになったのでしょう。そこで、いろいろ他の似たような事案を探してきて記事を水増ししております。

 まず挙げられているのが、ZARAで有名なスペインのインデックス社。ブラジル工場での14時間労働を1週間休み無しで続けている「奴隷」のような状態を紹介しています。次がコンバースのインドネシア工場における職員に対する虐待。

 そして、今年7月のアメリカの労働組織による報告書が紹介されています。アップルなどの中国における下請け工場がこうした「血の汗工場」(日本語では「搾取工場」とでも訳すのでしょうか)であり、長時間労働を強いられているとしています。自殺者もでていますが(富士康か)これも会社側の責任だとされているそうです。

 今年8月には、ディズニーに商品を納入している深圳のおもちゃ工場が、毎月120時間もの超勤をさせていたことや、職員が働き始める際には、「超勤自主要望協定」なるものにサインすることを求められたことなどが紹介されています。


3 チャイナ・リスク

 さて、最後にこの記事を読んでの感想ですが、お気づきのとおり、批判されているのは全て外国企業です。グッチやインデックス社の事例では現地法人がどういう経営組織になっているかわからないので、一概にどういう言えませんが、問題とされているのは、現地法人で、はたしてこの現地法人は周辺にある他の会社とどれだけ違う取り扱いをしていたかということです。

 中国人の離職率の高さは有名で、近くに同じような職種で給料が高いところがあると直ぐに転職します。グッチの店員も同じような販売員の仕事で条件が良い所が近くにあれば直ぐに転職していたと思いますので、悲しいかな(中国資本を含む)他の企業も同じような状態だったのではないかと考えます。

 最後のディズニーの例に至っては、ディズニーそのものには殆ど落ち度がないかと思います。安く商品を提供してくれるところから買ったにすぎません。責められるべきは納入会社の経営陣のはずですが、外国の有名企業というだけで、中国では批判の対象となることが多いのは、周知の事実ですから、これもチャイナ・リスクと割り切るしかないのかもしれません。

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