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上海鉄道事故の日本側の報道?

 『環球網』に「日媒关注上海地铁追尾事故 称类似事故在日无法想象」(日本のマスコミが上海の追突事故に関心を払う 似たような事件は日本では考えられないと報道)という記事が掲載されており、いろいろな意味で興味深かったので、これについて少し。

 この日本のマスコミとは天下の『産経新聞』でして、元になった記事は「「日本では考えにくい」と驚く日本の鉄道関係者」です。元記事が短かった関係で、単なる翻訳記事ですので、これ自体も短い記事です。なお、産経新聞の記事は以下のとおりです。
 高速鉄道の追突事故に続き、今度は地下鉄の追突事故。「日本では考えにくい」。中国からの一報を聞いた日本の鉄道関係者に驚きが広がった。 全9路線で総延長195キロを運行している東京メトロは平成10年までに全線で追突防止の“決め手”とされる自動列車制御装置(ATC)の導入を完了。自動列車停止装置(ATS)よりも進んだ保安装置だ。 前方に電車がいると自動的にブレーキがかかり、安全な車間距離を確保し追突を避ける。しかもATCが故障して運転速度を指示する信号が途絶えた場合にも、東京メトロの電車は緊急停止するようになっている。 日本のある鉄道関係者は「日本の地下鉄で同じような追突事故が起こった記憶はない」といい、「詳しい状況が分からないが、日本では考えにくい事故ではないか。保安装置は付いていなかったのか」と話した。
 基本的には、これを忠実に訳しておりますが、最後の「保安装置は付いていなかったのか」という発言部分は訳されておりません。事故の原因追及(ひいては責任問題)に関する微妙なところでもあるので省かれたのかと考えます。 それにしても、この記事を最初見たとき、何故日本の新聞記事なのか、それも何故『産経新聞』なのか、そして『産経新聞』でもこれ以外に事故を報道した記事はあるのに、何故この記事を選んだのかを考えると、先の翻訳の意図的な省略と共に『環球網』の悪意が何となく見えてくるような気がします。

 この記事を今回取り上げたもう1つの原因は、この記事のコメントに書かれていたことが興味深かったからです。以下にパターン分けをしていくつか紹介します。
 
1 日本批判型(日本も同じではないかというもの)
 電車がビルにつっこむことの方が考えられない(おそらく2005年に発生した「JR福知山線脱線事故」を指しているのかと思います)。

 だったら、日本の原子力発電所の事故はどうしておこったのだ。
 
 地下鉄毒ガスは中国では考えられない(1995年の地下鉄サリン事件)。
 
 2 中国批判型 全体的に言って、中国はいまだに貧しい後進国だ!

 恐怖を管理することはできても、腐敗はどうしようもない。
 
 上のなすことに下は従います。

3 開きなおり型

 これは日本人の想像力が劣ることを示している。
 
 この中国ならありうることだ。

 ここは中国だ、想像に難くない。

 他にも、「日本のAV女優が大声で『中国大好き』と言い、日本の大衆が恥をさらしていることこそ、想像し難い」というのもありました。

 よく元記事を読めばわかることですが、日本の鉄道関係者は、日本では「自動列車制御装置」があるので、こうした事故が起こりがたいと言っており、それを記事にしているに過ぎません。

 ところが、その前段の部分を省略して、「日本では考えられない」を強調して、記事の標題にすれば、最初の「日本批判型」の様なコメントが書き込まれるのは想像に難くありません。そのため、『環球網』がいろいろな意味で、飛ばしすぎのような記事ではありますが、これはこれで、いつものことかもしれません。

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