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銀行強盗が来ても「営業の電話を続けろ!」 ウエルズファーゴの企業文化が問題に ジョン・スタンプ会長兼CEOが離職

ウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)のジョン・スタンプ会長兼CEOが本日付で同行を去ります。

問題の発端は、同行の一部の行員が、顧客から頼まれてもいないクレジットカードを発行したり必要の無い口座を勝手に開設したスキャンダルにあります。

ウエルズファーゴは行員に対し営業目標を示し、それに到達しなかった出来の悪い行員を、下から順番に解雇してきました。

そこで営業成績が伸びず困った行員が、苦し紛れに顧客に無断でクレジットカードを注文するなどの不正を行ったというわけです。

この問題は、ジョン・スタンプ会長兼CEOの上院での議会証言では「2013年頃から気が付いた」としていますが、多くのメディアは2007年くらいから問題化していたと報道しています。

つまり、ひとりや二人の行員がやったことではなく、営業成績下位10%をウロウロしている行員にとって、ノルマ達成を誤魔化す「裏メニュー」として、広くシェアされてきた生き延びる知恵だったのです。

この不正に気が付いた若手行員が、上司やコンプライアンス部に告発した場合、それは握りつぶされてきました。逆に告発した行員が「態度が悪い」として解雇されたケースもあるそうです。

米国の公共ラジオ、NPRの取材では、次のような滑稽なエピソードすら紹介されています。

ある日、サンフランシスコのモンゴメリー・ストリートとマーケット・ストリートの角にある、ウエルズファーゴの支店の中でも最も重厚な歴史を感じさせる「クロッカー支店」に銀行強盗が入りました。

その銀行強盗はカウンターを飛び越え、テラーの座っているデスクの現金を取ろうとしました。すぐに警備員や警察が同支店に殺到し、銀行強盗はその場で取り押さえられ、手錠をかけられました。その銀行強盗は「む、胸が苦しい!」と心臓発作を装い、床を転がりまわりました。

このドラマの真っ最中に、上司は「捕り物に気を取られてないで、営業の電話をかけなさい!」とクールに言い放ったそうです。

たまたま店内に居合わせたウエルズファーゴの顧客は凍りつき、SWATチームは大声で指示を飛ばし合っている中で、ウエルズファーゴの行員たちは「ダイヤル・フォー・ダラー」、つまり営業の電話をかけ続けるという、シュールな情景が繰り広げられたそうです。

まあ、そこまでやるからこそウエルズは世界で最も儲かっている銀行に君臨してきたわけです。

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僕の取引銀行はウエルズファーゴです。今回のスキャンダルの後でも、それを変える気は全くありません。なぜならウエルズの行員はハキハキしていて応対も礼儀正しいし、どの支店に行っても若々しい、華やいだエネルギーを感じるからです。

競争はどこの金融機関にでもあるし、デキの悪い行員が数字を誤魔化すというのも、別に驚くに値しません。もちろん、不正を見て見ぬフリした上司やコンプラはクビにすべきです。

でも「だからウエルズはブラックだ!」とか、こんな「反社会的な企業は消えるべきだ!」というのは、ちょっと違う気がするのです。

むしろこれまでドットコム・バブル崩壊だろうがリーマン・ショックだろうが、あらゆる危機をパーフェクトに乗り切ってきた優等生のウエルズが、稀に見るヘマをやらかした……それを見て、普段から同行の成功をねたんできた連中が「それみたことか!」と同行を寄ってたかってボコボコにしている……そういう図だと思うんです。

ウエルズはこれから訴訟とかでまだまだ虐められると思うので、同社株をバーゲン・ハンティングするのは未だ早いと思います。

でも同社のブランドが毀損したという風には、僕はぜんぜん思っていません。

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