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焦点:トランプ氏は討論会で止血に成功、党の懸念は緩和できず

[ワシントン 10日 ロイター] - 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は、9日の第2回討論会で、物議をかもす情報流出に見舞われた自身の選挙戦をかろうじて存続させられる程度の結果は出せたかもしれない。

だがその一方で、トランプ氏を見捨てようと考えている共和党議員をさらに強硬な立場へと追いやった可能性がある。

トランプ氏が討論会で自滅していたならば、女性へのわいせつ発言を受け、共和党の議員や幹部のあいだで同氏を見捨てる流れは勢いを増し、大統領選撤退を求める声が高まっていただろう。

しかし、そのような事態にはならなかった。トランプ氏が大統領候補になったことで、党の分裂を目の当たりにしてきた共和党議員は、おなじみのジレンマに再び直面している。

つまりそれは、接戦が予想される議会選を危うくさせている、手負いの候補者を公に見捨てるのか、それとも、ホワイトハウスへの道がまだ閉ざされていないとのかすかな希望を胸に候補者に対する支援を続けるのか、ということだ。

トランプ氏は1回目の討論会よりも積極的かつ自制の利いたパフォーマンスを見せ、民主党のヒラリー・クリントン氏の国務長官時代の私用メール問題を攻撃するだけでなく、夫のビル・クリントン元大統領の不貞行為を蒸し返した。

こうしたことは、1年以上にわたり全米各地の集会に詰めかけた騒々しい支持者には受けが良いかもしれないが、11月8日の投票日にクリントン氏を負かすのに必要な激戦州での穏健な有権者の票を引き寄せるにはほとんど役に立たないだろう。

「今夜トランプ氏が見せたヒラリーに対する禁じ手無しのやり方は、ビル・クリントンが大統領だったころから、保守派が大統領候補に望んでいることだ」と、アイオワ州共和党の元政治ディレクター、クレイグ・ロビンソン氏は指摘。「共和党陣営らはこうしたパフォーマンスを大いに気に入るだろう」と語った。

だが共和党が運命を共にしているのは、特に女性や大卒者や郊外の有権者に苦戦している、大きな欠陥を持つ候補者だ。ロイター/イプソスによる最近の調査では、米国民の20%近くがどちらの候補者を支持するか、いまだに決めかねている。そのうち60%は女性だった。

今回のテレビ討論会直後にCNNが行った調査は、共和党が心配すべき理由を示している。討論会でクリントン氏が勝ったと答えた人が57%であった一方、トランプ氏を勝者と見る人は34%だった。

2005年に撮影されたビデオテープのなかでトランプ氏が行っている女性へのわいせつ発言をめぐり、ジョン・マケイン上院議員を含む多くの共和党議員が憤り、同氏を非難している。1974年に共和党のニクソン大統領が辞任して以来、同党は最悪の危機に直面している。

<共和党陣営の懸念>

同ビデオが公開されてから、共和党全国委員会は、この問題への対処法について地方の党当局者に何も助言を行っていない。

共和党内部では、トランプ氏に割り当てている資金を、今回の反発を受け、危機的状況に直面するかもしれない同党の上院・下院議員候補を支援するために回すことを検討する議論が活発化している。

「トランプ氏と完全に手を切り、共和党が支配する議会を維持することに重点を置くにはとうに時間が過ぎている」と、同党のベテラン戦略家であるジョン・ウィーバー氏は述べた。

共和党当局者はまた、別の心配事も抱えている。トランプ氏の不人気が、多くの共和党有権者を投票日に家にとどまらせるリスクがある。

こうした騒ぎや非難を背景に、トランプ氏は共和党陣営をまとめるため、9日の討論会でクリントン氏に挑発的な攻撃を新たに浴びせ続けた。

トランプ氏は、メディアに自身のわいせつ発言以外のネタを提供すべく、クリントン氏が国務長官時代に行った外交政策を激しく批判したほか、議論の応酬のなかでクリントン氏を刑務所に入れるとさえ語り、巻き返しを図った。また、ビル・クリントン氏の性遍歴を問題化するとの脅しを実行に移した。

このように攻撃することで、トランプ氏は傷口を止血できたかもしれないが、懸念を消すことは全くできなかった。

(James Oliphant記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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