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いろいろな性を手話で表現したい――『いろいろな性、いろいろな生き方』 - 山本芙由美・眞野豊・中島潤

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就職試験の面接で、「戸籍上は女性ですが、女性社員としてではなく働きたい」と伝えてきた中島潤さん。ありのままの性で働く道を、自分で切りひらいてきました。

男性らしくならなきゃ

「もしかしたら、女の子が好きかもしれない」

中島さんがはじめてそう思ったのは、高校2年生のときでした。

性に関していろいろと調べるうちに、中島さんは、心の性と体の性がちがうことをあらわす「トランスジェンダー」ということばと出会います。

「そこではじめて、自分は『女の子が好きな女の子』ではなく、『心の性が女ではない』とわかりました。女ではないなら、男にちがいない。男になるように努力しなければ、と思ったんです」

男とか女とかでなく、ひとりの人間として

「いつか手術をして、体も男に変えるんだ、と思いつめていた。でも、自分は男だと決めることは、女として生きていたときと同じくらい、窮屈なことだったんです」

思いつめていた中島さんの気持ちを、ときほぐしてくれたのが、大学で出会った仲間でした。男とか女とかに関係なく、理解しあえたのです。

人はみんな、ちがっていて当たり前

セクシュアリティ(性のありかた)もふくめて、人はひとりひとりちがっていて当たり前。そう考える仲間に支えられて、中島さんは「男とか女とか決めなくていい。のびのびできる自分でいればいいんだ」と思えるようになったそうです。

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就職でも性別の壁をこえて

はじめて、のびのびと生きられるようになった中島さん。けれども、就職活動のときに性別の壁が立ちはだかりました。

「履歴書には性別欄がありますが、自分は男とか女とか選べなかったんです。それで、性別欄には記入せず、男性用スーツを着た写真をはっていました。女性の服を着て、女性として仕事をするのだけは考えられませんでした」

就職試験の面接では、いつも「戸籍上は女性ですが、女性社員としてではなく働きたい」と伝えていました。それを問題にした会社もありましたが、就職活動を続けるうちに、「仕事ができれば、セクシュアリティは特に問題にしない」という会社と出会うことができたのです。

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わかろうと歩みよること

入社してからずっと、中島さんは男性用のスーツを着て働いています。そんな自分をまわりの社員に理解してもらおうと、自分のセクシュアリティについて、丁寧に伝えるようにしてきました。そうするうちに、社内には「中島さんが男とか女とか、こだわらなくてもいいのかも」という空気が広がっていったといいます。

「自分も、ほかの社員について、わからないことってたくさんある。だから、自分のことをわかってほしいなら、おたがいに、わかろうと歩みよることがだいじなんだと思います」

ありのままの「性」で働く

中島さんは、自分がトランスジェンダーだと知った高校生のころ、トランスジェンダーのおとなには、どんな人がいるか調べてみたそうです。

「そのときは、いくら調べても、自分のなりたい職業の人が見つけられなかった。未来をえがくことができず、苦しかったです。だから、自分がありのままの性で仕事をしていくことで、どんなセクシュアリティの人も、ありのままの性で社会人として活躍できることを、多くの人に伝えたい」

仕事だけでなく、中島さんは今、教職員向けの研修会などで、セクシュアルマイノリティについての講師もつとめています。

「だれもが生きやすい社会にするために、自分にできることは、せいいっぱいやっていきたいです」

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画像を見る 山本芙由美(やまもと・ふゆみ)
「Deaf-LGBT-Center」代表

LGBT(性的少数者)に対応した手話をつくり、手話通訳の研修をするなど、LGBTのろう者を幅広く支援している。

画像を見る 中島潤(なかじま・じゅん)

学生時代は子どもたちに向けて、今は会社で働きながら、教育関係の人たちに、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)について伝える活動を続けている。

画像を見る 眞野豊(まの・ゆたか)

公立中学校に6年間勤務。性の多様性をテーマに授業や教員向けの研修もおこなってきた。その後、九州大学大学院で性の多様性について研究を深めている。

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