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いろいろな性を手話で表現したい――『いろいろな性、いろいろな生き方』 - 山本芙由美・眞野豊・中島潤

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セクシュアルマイノリティ(性的少数者)の子どもたちを学校で支えたい、と教師になった眞野豊さん。今は、教えかたについてさらに勉強しようと、大学院で学んでいます。

テレビのキャラクターを笑っていた自分

眞野さんが小学生のころ、テレビのコント番組に、ゲイをおかしく表現したキャラクターが登場したことがあります。「ホモ」ということばをもじった名前がつけられていました。眞野さんは「ホモってキモい」と思い、クラスのみんなと、そのキャラクターを笑っていたといいます。

眞野さんが同性を好きになったのは、ちょうどそのころ。

「みんなに自分も同じだと知られたら、人生が終わる」と思いつめ、バレないようにびくびくする毎日がはじまりました。

休み時間が大きらいに

「歩きかたが女っぽいといわれると、ふつうに歩けなくなったし、しゃべりかたが女っぽいといわれると、だんだんしゃべれなくなった。ものをとるときに小指が立っていないか気になって、手も出せなくなった。そういうのを、かくすのに必死な毎日。なんのために生きているのか、わからなくなっていきました」

たいていの子どもにとって楽しみな休み時間も、眞野さんには苦痛でした。

「休み時間は、自分がゲイだとばれないように、じっといすにすわったまますごしていた。だから、学校にいるあいだで、いちばんきらいな時間になりました。もう地獄というか、ばれないこと、秘密にすることが、生活の中心になっていったんです」

暗闇のなかにあかりが見えた

高校生になった眞野さんは、「これからどう生きていけばいいんだろう」と悩むようになります。同性愛者として、明るく楽しく人生をおくっている人を、見たことがなかったからです。そんなとき、「チャイルドライン」という子どものための電話相談があることを知ります。

「家族がいなくなるのを待って、思いきって電話をかけ、『ぼくは同性愛者なんです』と話しました。電話の向こうの人が、ぼくの話を受けいれてくれたのがわかりました。暗闇のなかにぽつんとあかりが見えた気がしました」

同じ悩みをわかってあげられる教師に

人に話し、否定せずに聞いてもらえたことで勇気づけられた眞野さん。その後、ほかの電話相談にも電話し、少しずつ、心が軽くなっていきました。そして、「学校の先生は、ぼくが1日1日をどんなにつらい思いで生きていたのか、少しも想像してくれなかった。だから、自分と同じような子どもの悩みを、なんとかわかってあげられる教師が必要だ」と思ったのです。

学校のなかから、教育によって、子どもたちを支えたいと思った眞野さんは、教師を目指すための大学に進みました。

「セクシュアルマイノリティへの偏見をなくすために、教師になるのなら、自分がゲイだということをかくしていてはいけない。いつかは公表しなければ……」

眞野さんは、そう考えるようになっていきました。

先生ってゲイなの?

広島の大学院で性の多様性について学んでいたとき、たまたまテレビに出演する機会がありました。そのとき、眞野さんはゲイであることを公表し、セクシュアルマイノリティへの理解を求めます。新聞でも「同性愛を公表した大学院生」として紹介されました。

その後、中学校の理科の教師になった眞野さんに、ひとりの生徒がたずねました。

「先生ってゲイなの?」

眞野さんが新聞に紹介された記事を、インターネットで読んだのです。眞野さんは、「うん、そうだよ」と答えました。

「そのことで校長に呼ばれましたが、『ぼくはゲイですが、理科を教えるのになんの支障もありません』といったら、納得してくれました。

教室にはいれなくなった生徒

眞野さんには、忘れられない生徒がいます。その子は、中学1年生のとき、いちばんの仲よしだったレズビアンの友だちを、自殺で失っています。それをきっかけに教室にはいれなくなっていました。その子は、「わたしは、この世に存在してはいけない」と考えていました。

「ぼくは、その子を変えたかった。自分を肯定できるように支えていくうちに、気持ちも安定してきて、少しずつ教室にはいれるようになっていました。ところがある日、その子が突然怒って早退してしまったのです」

まわりの人間を変えなきゃ意味がない

男子が「ゲイ」ということばをつかって、からかいあっていたのを見たのが原因でした。「自分のことも、眞野先生のことも、バカにされているように感じた」と、次の日に話してくれました。

「そのとき、気づいたんです。セクシュアルマイノリティの子どもたちを支えるには、まわりの人間を変えなきゃ意味がないって」

「差別って、差別をされるほうの問題ではなく、差別する側に問題がある。だからまわりの意識を変えなくては」と思った眞野さん。さっそく、性の多様性についての授業をしたいと学校に提案し、2年後に実現させます。

「今、大学院では、性の多様性について、学校現場でどのように教えていくのか、カリキュラム研究や授業研究をしています」

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