- 2016年10月10日 17:03
第369回(2016年10月10日)
2/23.アルゴリズム
オートファジーは生命の神秘、細胞の機能として驚きの世界ですが、生物そのものの行動にも驚きの実態があります。
そのひとつが「群知能」。鳥や魚や虫の群れが、まるでひとつの知能や意思を持った生物のように飛んだり、泳いだりする行動を指します。
何万羽ものムクドリの群れ、数十万匹のイワシの群れ、数百万匹のイナゴの群れが、黒い塊になって、一斉に方向転換し、蠢(うごめ)く姿はまるでひとつの生物です。
その姿をCG(コンピューターグラフィック)で再現したいと考え、それを実現したのが米国のアニメーションプログラマー、クレイグ・レイノルズ。
レイノルズは群れの個体に3つの行動原理(規則)をインプットすることによって、まるで実写映像のようなCGアニメーションを実現しました。
第1はお互いにぶつからないようにすること(分離)、第2はお互いに同じ動きをするように方向と速度を調整すること(整列)、第3は常に群れの中心に向かって動こうとすること(結合)。
このプログラムを使って最初に作られた映画がバットマン。まるで実写のようなコウモリの群れの映像が制作されました。
このプログラム(シミュレーションモデル)は「ボイド(birdoid、鳥もどき)」と呼ばれ、「人工生命」として浸透。以後、多くの映画やテレビでボイドが活用されています。
最近の人間社会、とりわけ最近の日本社会がボイド的であるように感じられるのは筆者だけでしょうか。
ボイドには群れを引っ張るリーダーはいません。しかし、まるでリーダーに統率されているかのように群れ全体が一斉に方向転換します。
この「群知能」に加え、さらなる生物の特性を利用して、鳥や魚の捕獲手法が蓄積されてきました。
例えば、人力による定置巻き網漁業。筆者はスキューバダイビングの指導員であるため、一昨年、漁師さんと一緒に潜って実体験。いろいろと腑に落ちました。
魚の群れは制約された水域(水中内の空間、つまり網のような障害物のある立体水域)に入ると、そこから逃げることができず、水域内を回遊します。
群れが網を設置した水域に入った後、ダイバー数人で網を徐々に巻き上げ、最後は小さく巻いた網の中に魚群を追い込みます。実際、数100匹のアジの群れを捕獲しました。
自食行為で国の借金(国債発行)を重ねる日本。国債は国民の資産でもあり、いくら発行しても大丈夫。現に財政破綻など起きていないではないかという強弁を時々聞きます。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的な主張、群集心理であり、いずれ制約(障害)に遭遇した時には、上記の魚群のように一網打尽となるような気がします。
網や漁師は、財政的な限界であり、市場であり、ヘッジファンドであり、国際社会全体とも言えます。
なぜ自食行為のような借金依存、不要不急の予算を止めないのか。ここでも、生物の行動原理、とりわけアリ(蟻)の行動原理が頭に浮かびました。
アリの行動原理は、餌を見つけたらフェロモンを出す、フェロモンを感知したらその道を辿るという単純な規則です。
餌を探してうろつき、餌を見つけたらフェロモンを出しながら帰巣。他のアリがこのフェロモンを感知し、うろつくのを止め、餌への道を辿ります。アリの行列の出現です。
利権の匂いを皆で辿り、制約に遭遇するまでボイド的に行動し、最後は一網打尽。それでは困ります。
生物の行動原理はアルゴリズム(算法)と呼ばれ、問題解決のための手順という意味があります。
生物の中で最も愚かな人間、さらに民族的特性を有した日本人が、一網打尽とならないようなアルゴリズムを考えなくてはなりません。
(了)



