- 2016年10月09日 16:57
「若者のサッカー離れ」は正しくないを実証したい!?
1/2会場にはJリーグの村井満チェアマンにもお越し頂き、学生たちを激励して頂いた。
東北芸術工科大学の「ソーシャルデザイン論」の講義では、4月~7月の隔週でモンテディオ山形の方々にご参加いただいた。15回に渡る講義で「ホームゲームへの集客」「若い世代のファン層の獲得」「地域活性化つながる具体策」などについて、学生たち自らが考え、昨日(10月8日)のホームゲームで、その企画を実施した。
画像を見る「山形に魅力があること」「若者に活気があること」は、山形を本拠地とするモンテディオ山形と東北芸術工科大学の双方にとって重要な課題である。
またこの課題は山形だけではなく、全国のクラブハウスや大学に共通の課題でもある。Jリーグの村井満チェアマンにも会場に来て頂き、学生たちを激励して頂いた。
画像を見る企画の背景
国内に38都道府県に53のサッカークラブ(J1:18チーム、J2:22チーム、J3:13チーム)が存在する。モンテディオ山形はこのうちのJ2に属する。クラブによって差はあるが経営的には苦戦しているチームは多い。
サッカーは若い世代に人気があるというイメージが強い。しかし、各クラブが抱える課題の一つとして「サポーターの高齢化」がある。Jリーグ全体の平均では41.1歳。中にはサポーターの平均年齢が47歳を超えるチームもある。
出典:観戦者調査 サマリーレポート(2015年)平均年齢は全体で41.1歳。
観戦者の平均年齢は全体で41.1歳であった。昨年より0.7歳上がっている。年齢層では、40代(29.1%)、50代以上(27.3%)、30代(21.1%)が中心となっていた。性別による年齢構成比に大きな違いはなかった。平均年齢が高いクラブは新潟(47.1歳)、大分(46.6歳)、湘南(46.1歳)などであった。一方、平均年齢が低いクラブは、鹿島(36.7歳)、鳥栖(37.0歳)などであった。2014シーズンとの比較では、浦和(+4.7歳)、広島(+4.1歳)、水戸(+3.8歳)が平均年齢を上げ、鹿島(-3.2歳)、清水(-2.5歳)、徳島(-1.8歳)と平均年齢を下げていた。。
その年に、新たに観戦者となったという人は、平均で7.6%と、意外に低い。10年以上の旧いサポーターの割合は最も高く全体の44.8%だ。J1、J2ともに13回がスタジアムでの観戦頻度の中央値となるが、J1の観戦者のうち38.6%は一シーズンあたり17回以上、J2の観戦者の場合は25.7%が21回以上をスタジアム観戦している。シーズンチケットを購入する根強いサポータに支えられていることがよく分かる。
出典:観戦者調査 サマリーレポート(2015年)2015シーズンから新たにサポーターになった人は7.6%。
観戦者に、どのくらいの期間、特定のクラブを応援しているかについて尋ねたところ、10年以上とする割合が最も高く44.8%となっていた。10年以上の長いサポーター歴をもつ観戦者の割合が高いクラブには、浦和(76.8%)、磐田(74.0%)、新潟(73.3%)などがあげられた。今シーズンからサポートクラブを持つようになったとする観戦者は、全体の7.6%であった。
1993年にJリーグは開幕した。当時10代後半から20代前半だった「若い」サポーターたちが、20年あまり経った現在40代になっている。ヨーロッパなどでサッカーを観戦すると、日本よりも観客はさらにシニア層だという印象もある。必ずしもサポーターが若くなくてはならないわけでないが、このように考えると、日本のサポーターの中心層が40代に達していることは、腑に落ちる。
課題と気づき
Jリーグの各チームは、地元で熱烈なファン層を持つ。コアなサポーターは観戦仲間による直接のクチコミ、ネット・SNSを通じて、試合日程等の情報を得ている。一方、まだファンになる前の「新規」のサポーターを獲得するためには、試合日程などを告知してもなかなか観戦しようという「気持ち」にはつながらないだろう。
新規のサポーターを獲得する上での課題を検討した結果、「将来ファンになるかもしれないが、今現在はまだファンではない」学生の声を多く取り入れようということになった。そして「試合の面白さをどのように伝えるか」というサッカー観戦ありきの視点だけではなく、「どうすればスタジアムにまで足を運ぶのか?」という学生(顧客)視点を多く取り入れることにした。
画像を見るその結果、思っていた以上に、大学生たちは地元での友人や知人とともに集い「体験」「経験」することに期待感を持っていることが分かった。確かに、東京などの都心部では、日々、多くのイベントやスポーツ観戦の機会があるが、山形県内だけで考えると学生が友人や知人と繰り返し参加し楽しめるような「場」は必ずしも多くない。気軽に同性同士や異性の友人などと知り合える場が少ないのだ。
具現化(具体策)
本拠地となるスタジアムは天童市にある。山形市内にある主要大学からはあまり近いとはいえない。10代から20代の特に自家用車を持たない大学生がスタジアムに向かうためには、アクセス方法の改善も含めて「友達と一緒に観戦する」ことをコンセプトとすることになった。
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「一緒に見に行く友達を作ろう!」という趣旨を、10月8日(土)の愛媛FC戦の後に「学生限定ビアパーティー」として実施した。実施にあたり東北芸術工科大学を拠点にスタジアムまでの往復シャトルバスの運行を行った他、モンテディオ山形の選手たちからはビデオレターの撮影に協力頂いた。また、地元とモンテディオ山形を盛り上げるためのビアガーデンを学生限定で開催という趣旨に賛同いただき、地元の月山ビールから地ビールの提供も頂いた。
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学生らの呼びかけに応じ、山形市内を中心とした
・東北芸術工科大学
・東北職業能力開発大学校
・山形大学
・山形県立保健医療大学
・産業技術短期大学
の5つの大学の学生らが集まった。