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過労自殺の根本原因は「1度の失敗も許さない社会」

■過労自殺の争点は「辞めるに辞めれない」こと

 大手広告代理店の電通に勤めていた女性の新人社員が過労自殺したことで大きな騒ぎになっている。中には「過労死」と「過労自殺」を混同しているような意見も見かけるが、総じて日本の長時間労働を問題視した意見が多いようだ。
 月100時間の時間外労働を行っていたということは、月20日勤務として考えれば、平均すると1日5時間の残業ということになる。17時が定時の会社なら毎晩22時まで仕事をしているという感じだろうか。休日出勤もしている場合は少し違ってくるが、確かに「働き過ぎ(拘束され過ぎ)」のレベルだとは言える。
 もともと広告代理店というのは、仕事柄、時間に不規則な業界でもあるので、そんなに早く帰れるような業種ではないとは思うが、入社早々、月100時間の時間外労働がずっと続くというようなことが判明すれば、鬱状態に陥っても仕方がないとは言える。

 先程、「過労死」と「過労自殺」と述べたが、この女性の場合、後者の「過労自殺」であったため、避けようと思えば避けられたはずだが、「なぜ避けられなかったのか?」、これがこの事件の最大の論争ポイントだと言える。そのポイントとは、「辞めるに辞めれない」ことだが、この部分をクリアしない限り、このような問題はいつまでも無くならないと思う。

■「いじめ自殺」の構造と似ている「過労自殺」

 この「辞めるに辞めれない」感情というのは、「いじめ」の構造と実によく似ている。学校でいじめに遭っている生徒が、いじめ自殺から解放される最も有効な手段は「学校を辞めること」だが、これがなかなかできない。なぜできないのか?と言えば、“やり直しがきかない”という不安感が邪魔をするからだ。“失敗を許さない社会”という認識が社会通念として常識化してしまっていることに、その原因を求めることができる。
 具体的に言えば、企業ではなく、社会そのものが「1度の失敗も許さない」という不自由で窮屈な社会に成り果てているということになるだろうか。

 日本には「」の文化というものもあり、学校を辞めることや会社を辞めることは「恥」と思う人が多い。「学校を辞めること」や「会社を辞めること」は「失敗」とイコールの関係になっているため、最悪、自殺にまで追い込まれることになってしまう。
 「1度の失敗も許されない社会」が絶望感を増幅する手伝いをすることになり自殺を余儀無くされるという悲劇に至ってしまうのである。

 その失敗の許されない社会で苦労して入社した有名企業であれば尚更で、1度辞めると二度と同じ立場にはなれない(実際はなれると思うが)というような袋小路思考に陥ってしまうのかもしれない。言わば、1度きりのオリンピックに背水の陣で挑んでいるという感じだろうか。

 学校や会社を辞めてもどうにかなる。それは社会人を辞めるという意味ではなくて、もう1度、同じ社会人としてやり直しがきくということ。そういう当たり前のことが常識として認識される社会、言い換えれば、失敗が許される社会になれば、過労による自殺も無くなる。そのためには、年齢や学歴に拘り過ぎる現在の社会通念を変えていく必要がある。何度、失敗しても個人の能力とやる気と努力で這い上がれる社会であれば、失敗(=会社を辞めること)を気にする必要もない。自分に合わないと思う会社であれば、さっさと辞めてやり直せばいい。そんな当たり前のことができなくなっている窮屈で融通の利かない社会こそが根本的な問題なのである。

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