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中国の事故を喜ぶ日本のマスコミ?

 今日もやはり中国の高速鉄道の事故に関するものです。『環球網』に「日媒批评中国掩埋车体做法 称应让日欧介入彻查事故」(日本のマスコミは中国が車両を埋めたことを批判し、日本や欧州も事故の徹底調査に参加させるべきとしている)という記事があり、いろいろ思うことがあったので、これについて少し。

 一言で言ってしまえば、今回の中国の高速鉄道の事故に関する日本の報道を批判したものです。The Financial Timesの社説など、欧米のマスコミが中国の態度を批判していると最初に断っていますが、記事の標題にあるように、基本的にこの記事でやり玉にあがっているのは日本の報道です。実際最初に日本では「他人の不幸を喜ぶ」態度が明らかだと、ことわった上で日本の記事が紹介されています。

 例えば、『朝日新聞』の7月25日の社説「中国鉄道事故 背伸びせず原因究明だ」では最後を「中国当局は日欧の協力も求めて事故を徹底的に調査し、安全第一の基本を確立しなければならない。それができなければ、交通機関にとどまらぬ幅広い分野で進む急成長に対して、技術の安全さを危ぶむ、中国リスク論さえ招きかねない。」とまとめていますが、この部分を含めこの社説を以下のように翻訳して紹介しています。 
今回の事故は中国技術の「急速の応用」の危険性が明らかになったので、中国は日欧の協力を得て、徹底的に事故を調査しなくてはならない。交通の発展だけでなく、あらゆる分野において急いでことをなすことは危険を伴うものであり、国際的に「中国リスク」という言葉が出てきても何の不思議もない。
 続いて『毎日新聞』の「中国高速鉄道:伴野副外相「しっかり事故原因究明を」」が翻訳されています。この記事は、伴野副外相が、「甚大な事故が起きた時、原因を追究し、再発防止に努めるのは国際貢献の一つでもある。中国政府はしっかり原因究明してほしい」と述べたことや、原因究明のために、日本の技術や人材を提供する用意があることを表明したことが紹介されています。

 こうした記事に対し、日本やアメリカも国が発展しているときはいろいろ問題が出たではないか、中国も現在高度経済発展中で、多くの矛盾があるのは認める。しかし、今回事故が発生したからといって、中国が発展してきた成果を否定すべきではないというのがこの記事の言わんとしていることです。
  
 さて、これを読んだ中国人の感想(コメント)ですが、批判は甘んじて受けるべきだとするものもあるものの、かなりの方が日本の上から目線に反感を募らせているようです。つまり中国での事故なのに、何故日本にわざわざ調査の手助けをしてもらわなくてはならないのだ、よけいなお世話だ、中国を馬鹿にするかという話になっているわけです。中には日本が原発事故をおこした時、何故中国に検査させなかったのかという意見もありました。

 『朝日新聞』の社説が典型ですが、元記事では中国の高速鉄道は日本やヨーロッパの技術の寄せ集めなのだから、必要があれば、日欧の協力を受けることも必要ではないかという文脈での発言となっております。つまり、日本では、あれは日本の技術を用いて造られてものなのだから、必要があれば、調査の手助けをしますよという前提で記事が書かれているわけですが、中国はあくまで独自に開発したものと主張しているので、こうした齟齬が生じるわけです。

 こうした前提を紹介して『環球網』の記事が書かれているのであれば、ここまで日本に対する反感が募ることはなかったかと思いますが、あの愛国主義の『環球網』がそのようなことを書くはずがありません。実際、私も最初この記事だけを単独で読んだときは、確かに上から目線という感想を持たないでもありませんでした。

 記事の翻訳を比べてもらえばわかりますが、翻訳としては殆ど問題ありません。しかし、元記事の一部だけを使うことや記事の並びを調整すれば、全然違った印象を与えるものになってしまう典型的な例かと思います。

 今回の事故(及びその後の処置)を巡っては中国当局も一般大衆からかなりの批判を受けていることは周知のとおりです。うがった見方をしたくはありませんが、その矛先を少しでもそらすためにこのような記事が載せられたとするのであれば、それはそれでいろいろ思うところがあったものですから、参考までにということで、この記事を紹介させていただきました。

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