記事

【答弁付き】TPPや国家戦略特区などの規制緩和が大田区の施策・入札・契約などを通じ、 区民生活に与える影響と大田区のなすべき役割について

2/2

こうした規制緩和による外国投資家のための経済政策は、区民生活だけでなく、経営者にも大きな影響を及ぼすととらえています。 そこで心配しているのが政府が今年の秋の国会承認を目指しているTPPです。TPPはモノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進めるアメリカ、カナダなど太平洋12か国で結ぼうとしている国家間の経済協定です。

アメリカでは、いずれの大統領候補もTPPに反対の姿勢ですから、そう簡単にTPPが批准されることにはならないと思われますが、だからと言って、こうした国を超えた投資利益拡大政策がそう簡単にストップすることにはならないでしょう。同様の自由貿易協定は、TPPだけでなく、ヨーロッパを含めたTisaや二国間協定など様々な可能性があるからです。 

今年2月に署名が行われたTPP協定について協定文の公開以降、日本、アメリカはじめ各国でも、国会議員や市民団体が分析と問題提起を続けています。それをみると、TPPが大田区内の事業者に与える影響が、いかに深刻か、規制がいかに区民生活を守っているのかがわかります。

今日はその中の政府調達と言われる物品購入や入札の影響について取り上げたいと思います。

たとえば、大田区では、建設工事や物品調達などにおいて、大田区内業者に限定した制限付き一般競争入札や指名競争入札を行っています。大田区内に限定しているのは区内産業育成の視点であり、その事業者が競争力を持った企業に成長発展していただくことが期待されるからです。区内の景気向上、雇用や受発注の確保という経済波及効果も狙っています。今回の補正予算に計上されているリフォーム助成もそうした視点で計上されているのでしょう。

ところが、TPPはこうした国や地域に限った制限も経済障壁とみなし、外国資本含め誰もが入札や契約に参加できる状況をつくるためのしくみです。一般原則として、外資と国内企業を区別し「現地調達」や「自国物品の購入や利用優先」をしてはならないとされています。

内閣官房のTPPについてのQ&Aでは、国と都道府県および政令市に限ると説明されていますが、協定文書には「協定締結後3年以内に適用範囲の拡大を達成するため地方自治体も含んだ交渉を開始する」「交渉開始前でも地方自治体を対象とすることについて合意できる」書かれていますから、当初から自治体を対象としているとみるべきで、国の説明のニュアンスとは、大きな温度差があります。しかも、批准後は政府調達に関する小委員会をおいて、対象機関の拡大、基準額の改定、差別的な措置の削減と撤廃を議題にしていくとしていますから、大田区の契約や入札は熾烈な競争にさらされる可能性が大きいということです。

大都市として一体的にみられることも多い23区が対象に加わる可能性は、他の自治体に比べれば高いとみるべきでしょう。

現時点での対象金額は物品で3300万円。建設で24億7000万円。建設技術サービスで2億4000万円。その他サービスで3300万円となっています。

今後のTPPの交渉で、地方自治体が対象になれば、今回の議案の防災毛布購入は消費税込みで9000万円を超えますから制限付き競争入札ができなくなり、たとえばアメリカ防災毛布という外資系企業が落札するかもしれません。大田区は、可燃ごみの民間委託の受け皿として一般社団法人を設立しようとしていますが、対象機関が拡大すれば、そこでの契約にも制限なしの入札をといった競争性を求められるようになるかもしれません。

対象が広り金額が引き下げられれば、区内事業者への影響は拡大し、区民生活にも影響を及ぼすでしょう。

受託会社が変わっても、現場で働く人は同じ、という話を聞きますが、外資が大田区の契約をとっても、働く人は同じで、賃金が下がったり下請け、孫請けの利幅が少なくなったりするのかも知れません。

今後は、水道、道路、建物などあらゆるインフラの施工・管理について民営化も視野にいれた外資との競争がおきる可能性が高いのです。TPPなど自由経済貿易で経済障壁が無くなったとき最も大きな影響をうける分野の1つがこの公共調達であると私はとらえています。

そこで、うかがいます。

日本政府は、TPPについて、秋の臨時国会での承認を目指していて、仮に承認されれば2年以内に発効する可能性があります。

私は、TPPは批准すべきではないと考えています。区長はこうした区内産業への影響を考えれば政府に対し、TPPに異を唱えるべきと考えますがいかがでしょうか。

異を唱えることをしないのであれば、少なくとも、TPP批准前までに、区内産業育成のために、制限付き競争入札などを行ってきましたが、それらをルール化条例化して、区内産業を育成するとともに区民生活を守るべきではないでしょうか。

【答弁】

TPPと公共調達に関するご質問ですが、TPP協定では、第15章に政府調達に関する規定があり、政府機関等が一定基準額以上の物品・サービスを調達する際のルール・手続きを規定しております。この規定が適用となる地方公共団体の対象団体でございますが、TPP政府対策本部によれば、都道府県及び政令指定都市であり、それ以外の特別区を含む市町村等において、新たな市場を外国企業に開放するものではないとしています。このため区は、TPP協定に関する国の動向を注視しつつ、引き続き現行の国内法令等に基づき、契約手続きの透明性、公正性等を確保し、区内産業の適切な育成に努めてまいります。

準区内と言って大田区に机と電話を置いている事業者も区内ですから、外資も区内になりえます。

そこで重要になるのが、大田区という行政がなぜ区内事業者を優先しているのか、してきたのか、ということです。

区内で安定的な雇用を支え、区内調達で循環経済に資する。法令順守は当然のこととして、環境を守り、障害者雇用を支えるなど社会的責任を果たす。こうした事業者だからこそ、大田区民の税金を投入する意義を持つのではないでしょうか。

いま、規模の大きな事業者が大田区の仕事をとる。契約そのものの規模が大きくなっている。ように見えます。今回、解体と建設の一括発注議案が送付されていますが、最近の究極の一括発注といえば、点検を行わせ見つかった必要な個所の修繕までゆだねている本庁舎の耐震補強工事でしょう。大田区がTPPの対象になれば、契約金額の引き下げも気になりますが、こうした大きな契約が増えている状況は、大田区自ら外国資本に対して有利な契約を用意する形になっていると見ることもできます。介護保険の単価の改正により小規模事業者が厳しい経営を迫られているのも大規模資本優遇とは見られないでしょうか。

今や日本の大企業も大株主は外資というところが少なくありませんが、政府や大田区の外国資本優遇がこうしたところにも表れているのかもしれません。

しかし、日本の7割の雇用を支えているのは中小企業です。こうして大きな事業者に集約されたり、契約規模が大きくなれば、公共調達に限ったことではありませんが、淘汰されたり、下請けや孫請けが発生し、下請け孫請けの利幅が小さくなる可能性もあります。

日ごろの維持管理を怠り、まとめて大規模工事を大規模事業者に発注するより、手間がかかっても、地域の中小事業者にこまめに発注することで、長く大切に区民の建物の維持管理をすべき。物品調達すべきというのが私の基本的な考え方です。

グローバル化の潮流の中で、区民生活を守り、区民の雇用を守るのは大田区の責務です。

TPPという一つの危機を機に、少なくとも公共調達については、区民の税金で区内雇用を安定的に支える。区内調達で循環経済に資する。法令順守。環境配慮。障害者雇用。などを評価する政策入札・公契約条例のしくみを導入するなど、大田区の契約の在り方を見直すべき時期にきているのではないでしょうか。

TPPなどの貿易自由化により入札や契約を自由化すれば、税金の一部が外国投資家に流出し再投資される保証はありません。区民からお預かりした税金をどう使うべきなのか、区長の見解をお示しください。

【答弁】

国戦略特区の規制緩和による影響の検証と、区民生活の影響に関するご質問でございますが、国家戦略特区の規制緩和によって、区民生活が脅かされることはあってはならないと考えます。同様に、国家戦略特区における規制改革のメニューの活用は、国際都市おおたが飛躍する絶好のチャンスであると考えております。区民生活や安全を第一に、この機会をしっかりと活かし、区内産業・経済の一層の発展に繋げていくことが重要だと考えております。

あわせて読みたい

「TPP」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。