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  • 2011年07月09日 10:09

「私の父親は村長よ」事件

 以前、李剛事件について記事にしたことがありますが(教師が生徒に謝罪(湖南省))、また同じような事件が発生しました。ただ、それがなんとも呆れるしかない事件だったのでそれはそれで興味をそそられるものがあったので、これについて少し(参照サイト 『中国新聞網』「女子宝马车内吸毒被抓后称“我爸是村长”(图)」)。

 最初に李剛事件の概要を簡単に記載しておくと、ある男が昨年10月河北大学内で、飲酒運手をして2人の女子大生をはね、1人を死亡させ、1人に重傷を負わせたものの、逮捕された時、全く反省の色を見せないばかりか、その際に「俺の親父は李剛(保定市北市区公安分局の副局長)だ」と叫んだという事件です。

 つまり俺は警察高官の息子だから何故逮捕できるのだとわめいたわけで、あまりにもひどいということで、当時ネットでかなり話題になりました。

 今回の事件は浙江省麗水市で発生したもので、BMWが斜めに走ったと思ったら急に道中で停まるというおかしい動きをしていたので、警察がどうしたのかと近寄ったところ、運転していた女性の様子が明らかにおかしいとなって逮捕されたというものです。

 記事によると運転していたのは、25歳の女性で、意識がはっきりしないうえに、口の周りには白い粉がついていたということですから、あまりにもわかりやすすぎです。何でもムシャクシャしていたので、薬物を摂取してドライブでもと思い、車を運転していたら、急に中毒症状をおこしておかしくなってしまったそうです。

 逮捕されるとき、「自分の父親はどこどこの村長」だと言うとともに、「不行、不行」(だめー、だめー)とだけ答えていたと報道されています。中国の行政単位は日本ほどわかりやすくなく、「市」といっても、省と同じレベルの直轄市もあれば、省の下の通常の市もあれば、更にその下の県と同じレベルの市もあるという様に結構複雑です。

 日本の場合は都道府県と市町村という様に2段階ですが、中国の場合は、省級、地(区)級、県級、郷級の4段階から成り立っています。イメージとして思ってもらえれば良いのが、○○省の下の○○市、その下の○○県、その下の○○郷(鎮)というところでしょうか。

 さて村ですが、郷の下の組織になります。そのため日本の感じで言えば町内会の会長とでもいったところでしょうか。だた、やはり権限はもっていますので、現在のというより戦前のと思ってもらえればかなり近いかもしれません。

 ネットでもいろいろ話題となっているようですが、これはどちらかというとたかだか村長にしか過ぎない者の娘が自分の父親の権力を誇っていることが馬鹿にされたという感じが強いように思います。端から見るとバカバカしい話ですが、本人は大まじめかもしれません。

 というのは、本当に大きな権限を持っている者は何も小さいことを気をしなくてもよくなるかもしれませんが、小さい権力しか持っていないものはその自分の小さい権限を握って絶対放さないということがよくあります。つまり端から見ればたかだか村長ですが本人達にとっては、それが自分たちのアイデンティティの重要な部分となっているのかもしれません(このギャップがまた嘲笑を誘うわけですが)。

 それに25歳の娘がBMWに乗れることも注目を集めたのかもしれません。中国でもドイツ車は高級車の代名詞で、ベンツやBMWはやはり憧れのまとです。絵に描いたようなドラ娘が馬鹿をして親の権力を笠に着た事件といいたいが、その権力が大した権力でない、いろいろな面で笑わせてくれる事件です。

 しかし、こうした大した権力でなくともそれを握っている者の機嫌を損ねると、手続をとってもらえないかもしれないといのが中国で、実にやっかいなところです。

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