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2017年1月施行!「育児介護休業法」等の改正で派遣先に求められる対応とは?

文:株式会社パソナグループ コンプライアンス室 マネージャー 酒井信幸

マタハラ防止措置の義務化

2016年3月29日、「雇用保険法等の一部を改正する法律」が通常国会で成立しました。

この改正には雇用保険法のみならず多くの労働関係法規が含まれており、「育児介護休業法」や「男女雇用機会均等法」の一部も改正され、2017年1月1日に施行される予定です。

育児介護休業法と男女雇用機会均等法の改正により、事業主には「いわゆるマタニティハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置」(マタハラ防止措置)が義務付けられます。

これは、妊娠、出産、育児・介護休業等の取得等を理由とする上司・同僚等による就業環境を害する行為(マタニティハラスメント)に適切に対応するために必要な体制の整備等を求めるものです。

このマタハラ防止措置を有効に実施するために、2016年8月2日に厚生労働省から指針が公布され、改正法の施行後、事業主にはこの指針で定められた適切な措置を講じることが求められています。

労働者派遣法も改正!マタハラ防止措置の特例とは?

そして、この度成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」には「労働者派遣法」の改正も含まれています。

労働者派遣法といえば、2015年9月30日施行の法改正で大幅な変更があったばかりですが、育児介護休業法・男女雇用機会均等法に関連する改正がなされ、これも同様に2017年1月1日に施行されます。

労働者派遣は、「派遣元が派遣労働者を雇用し、派遣先がその派遣労働者に対し指揮命令をする」ものであり、原則的に労働者保護法規については雇用主である派遣元が責任を負う立場にあります。しかしながら、「指揮命令は派遣先である」ということを鑑みて、“特例的に”派遣先が労働者保護法規の責任を負う立場になる場合があります。

2017年1月施行の改正労働者派遣法では、改正育児介護休業法・男女雇用機会均等法の「マタハラ防止措置」は、派遣元のみならず、派遣先も事業主としての責任を負う立場であることが定められています。つまり、派遣労働者に対するマタハラを防止等するための措置については、派遣先も同様に法的な責任を負うことになる、ということです。

男女雇用機会均等法では、今回の改正より前から「セクシャルハラスメント防止措置」(セクハラ防止措置)が事業主には求められており、派遣労働者に対するセクハラ防止措置については派遣先も責任を負う立場にありました。それに加えて、2017年1月の法改正で、マタハラについても同様に派遣先が責任を負う立場になります。

派遣労働者をマタハラから守るために

派遣労働者へのマタハラを防止し、適切な対応をするために派遣先に求められることは、「自社の社員と同様の対応をすること」です。

厚生労働省の指針に基づき2017年1月にむけて、各事業主が体制を整備し、その一環として「相談窓口」を設置する必要があります。ちなみに指針では、マタハラの相談窓口はセクハラの相談窓口と一体的に設置することが望ましいとされています。

もし仮に派遣労働者が派遣先に相談した場合、「派遣労働者は派遣元に雇用されているから派遣元に相談をしてください」というような対応をすることは望ましくありません。
派遣先はマタハラ防止措置について事業者としての法的責任を負っているわけですから、自社の社員と同じ「相談窓口」を案内し、そのうえで派遣先と派遣元が連携をしながら適切な対処をしてくことが求められるでしょう。

まだまだある?派遣先への労働者保護法規の適用

今回の法改正で派遣先が適用を受ける定めは「マタハラ防止措置」だけではありません。

改正前から雇用主である派遣元に適用される規定として育児介護休業法に定められていましたが、育児休業・介護休業等を取得することを理由にする不利益取扱の禁止、育児介護休業法で認められている所定外・時間外労働の制限に関する不利益取扱の禁止等が、新たに派遣先も事業主としての責を負うことになりました(下図参照)。

改正後(2017年1月1日施行) 改正前
男女雇用機会均等法の特例(派遣先への適用)
  • 現行の規定に加えて、「妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」が追加。 (均等法 第11条の2第1項)
  • 妊娠・出産・産休取得等を理由とする不利益取扱の禁止(均等法 第9条第3項)
  • 職場における性的な言動に起因する問題(セクシュアルハラスメント)に関する雇用管理上の措置 (均等法 第11条第1項)
  • 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(均等法 第12条,第13条第1項)
育児介護休業法の特例(派遣先への適用)
  • 育児休業,介護休業,看護休暇,介護休暇の申出又は取得をしたことを理由とした不利益取扱の禁止  (育介法 第10,16,16の4,16の7条)
  • 所定外労働の制限に関する不利益取扱の禁止 (育介法 第16条の10条)
  • 時間外労働の制限に関する不利益取扱の禁止 (育介法 第18条の2条)
  • 深夜業の制限に関する不利益取扱の禁止 (育介法 第20条の2条)
  • 所定労働時間の短縮措置等に係る不利益取扱の禁止 (育介法 第23条の2条)
  • 育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(育介法 第25条)
規定なし
※育介法:育児介護休業法、均等法:男女雇用機会均等法

2016年6月2日には「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定され、全員参加型の社会を目指すとされています。

今回の法改正の目指すところは、妊娠、出産、子育て等を経ても派遣労働者を含む労働者一人ひとりが円滑に働けるような体制を、これまで以上に強固にしていくことです。

従来パソナグループをはじめとする派遣元が担ってきた労働者保護をさらに進めていくとともに、今後はより一層、派遣先と派遣元の協力を深めていく必要があるといえるでしょう。派遣先と派遣元が緊密に連携して「派遣労働者を守る」という意識が何よりも大切です。

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