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「SCOOP!」福山雅治の魅力とポリコレから距離を取ること

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福山雅治の魅力を引き出した大根監督の発想力

大根仁監督監督の最新作「SCOOP!」が大変面白い。今年の東宝配給の邦画は素晴らしいものが多いが、これもまた素晴らしい。監督が撮りたいものが撮れていると印象を強く受ける。

本作は、あの福山雅治が中年パパラッチという汚れ役に挑戦していることで注目を集めている。大根監督が福山雅治をどのように変身させたのかが、鑑賞前の観客にとって一番気になる部分だと思うが、ファーストカットからガツンとかましてくる。キネマ旬報2016年10月号のインタビューによれば、これは福山雅治のアイデアだそうだが、このシーンを提案するあたり、福山はこの役に本気で挑んでいることがわかる。
ただ、イケメンがちょっと新境地に挑んでみた、という感じではなく、きっちりと役に馴染んでいる。むしろ役者としてのいつものクールな面よりも自然体であるかのような印象すら受ける。

  関連記事:福山雅治「SCOOP!」のカッコよさについて

元々福山は、バラエティ番組やラジオでは下ネタもよく言うキャラとして知られている。ダウンタウン司会の音楽番組『HEY!HEY!HEY!』で、路上で寝ている女を担いで持って帰ったエピソードを披露したことは有名だ。(事実かどうか知らないが)
俳優としてはそういう一面を活かす役に今まで恵まれなかったが、大根監督の手によって素の下ネタ大好きおじさん「福山雅治」の一面を引き出されている。(もう47なんだよね。信じられない)
元々今回の企画は、テレビ朝日の川北桃子プロデューサーが、大根監督に福山主演の企画を考えてもらいたい、とオファーしたことから実現したものだそうだ。大根監督が長年温めていた企画だが、これを福山主演にあてがうという選択が素晴らしい。テレビ局のPに福山主演で、と言われて、この企画を出す大根監督の眼力というか先見の明というか、恐れを知らない無茶振りというか、とにかく福山にこの企画という組み合わせを提案できる企画力がすごい。

とにかく本作の福山雅治はイキイキとしている。口汚いし、セクハラもするし、おっぱいも揉むし、今までクールな役に押し込められて窮屈だった鬱憤を晴らすかのようだ。相棒のタレコミ屋、チャラ源を演じるリリー・フランキーとも息がピッタリだ。二人で夜通し飲み歩くシーンは本当にリアルで二人の仲の良さが伝わってくる。

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(C)2016映画「SCOOP!」製作委員会

ポリコレと距離を置く

本作の舞台となるのは、写真週刊誌の編集部だ。大根監督は「モテキ」「バクマン。」に続いてまた編集部を作品に登場させているが、今度はエンタメ記事や漫画雑誌の編集部ではなく、報道の現場だ。週刊誌のありよう、メディアの取材の仕方については、昨今いろいろ言われている。作中でも福山演じる都城静が「俺たちの仕事はゴキブリ以下」と言っているが、そのゴキブリ仕事についての批判は多い。ネットで自由に発言できるようになり、芸能人自身が被害を告白するようになって、表現の自由の名の元になんでもやって許されるわけではないという論調は強くなっている。
※例宇多田ヒカル「マスコミ恐怖症になってしまった」 取材攻勢に苦言 – シネマトゥデイ

本作は、そういう嫌われ、批判されている世界を描いている。そして、それについて断罪をしない。ついでに言えば、週刊誌の編集部の労働環境もかなりブラックだ。徹夜の当たり前の世界として描かれているし、怒号も飛ぶ。これに対しても本作は、批判的視点を持っていない。
いわゆる『ポリティカル・コレクトネス』の視点は完全に脇に置いている。芸能ゴシップではなく、事件の特大スクープ写真を撮る静と野火(二階堂ふみ)のその手法もお世辞にもキレイなものではない。

大根監督は、完全にエンタメに徹している。ポリコレ的には問題ある人間たちをカッコよく描いてさえもいる。同じパパラッチを題材とした映画に、ジェイク・ギレンホール主演の「ナイトクローラー」があるが、パパラッチをサイコパスとして描いているのとは対称的だ。本作にポリコレ的視点で批判をする人はおそらくいるだろう。

しかし、敢えて言うと、単なる映画に彼らを断罪する権利などあるのだろうか。作中、静も言うように、皆が批判する下衆な仕事なのに、皆が見たがり欲するのはなぜなのか。他人の秘密を知りたいと思う欲望は自分にもある。誰に彼らを批判する資格があるのだろうか。

むしろ大根監督のポリコレから距離を置く姿勢は、謙虚さの現れと思う。自分には彼らの仕事を批判する資格などない。下衆な一面を自分でも持っているかもしれない。ただ仕事に懸命に打ち込む姿には熱いものがこみ上げてくる。ああして日々、命を燃やして生きている人達を見て感動する。だから、純粋にエンタメに徹している。
とても潔い姿勢ではないだろうか。

僕自身、彼らの仕事を褒めようという気はしない。しかし、彼らのように熱く生きたいとは思う。綺麗事の前に僕はそう思ってしまう。見てよかった。

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(C)2016映画「SCOOP!」製作委員会

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