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医療や介護は圧縮の方に舵が切られているけれど、上手く育てれば大産業になるのに馬鹿だな、と思う―「賢人論。」第24回(中編)高須克弥氏

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義理人情といった古い価値観がいまだに生きている。筋を通して肉弾攻撃をする人を好むのは日本独特の文化

高須 昔から日本はそういう社会だったんですよ。医療も同じで、「医は仁術なり」といって医者は情けを持った心でもって患者を施すことが当たり前だったんです。すごく貧しい人は医者の情け袋にかければ金は取らないっていう。医者だってプライドがあるから、貧しい人が来たら「治療費なんかいいから」と言って治療をやっていました。ただ、医者にかかれるお金持ちが自費でたくさん医療費を払ってくれたからできたわけで。

私の祖父母の頃は一日に家族の数だけ患者が来れば優雅に生活できていました。治療費がすごく高かかったので。それくらいの価値はある、と思った人たちが治療しに来ていました。今は国民皆保険で療養をメインにしてくれると貧しい人もお金持ちも平等に扱ってしまうでしょ。戦前までは、日本のボランティア精神は互助精神だったんです。

みんなの介護 先生は終戦の年にお生まれになったんですよね?

高須 昭和20年の1月、防空壕で生まれました。村ではけっこういじめられましたけれどね、いざというときは助け合う村社会でした。村の人たちは集りの精神の持ち主で、お金持ちがご馳走してくれるというのはごく当たり前のことだった。だから、地主のところに小作が行ってご馳走してもらうのは当たり前。

お金持ちもそういうところを見せないと村社会では尊敬されなかったから。昔は尊敬されることがアイデンティティーだったんですが、今のお金持ちは尊敬されなくても平気ですもん。

みんなの介護 現代では尊敬されるお金持ちが減ったということですか?

高須 以前は政治家も尊敬されるために、自分の地方では大金持ちでも国選に出ようとして家の家宝も家財道具も土地も売り払って、井戸と塀しか残らなかった。こういう“井戸塀政治家”っていうのが尊敬されたんですよ。今はみんな食っていくのに必死だから、議員になって歳費をごまかしてセコくやる人に対して世間が怒るにはすごくわかりますよ。

発展途上国だったら、“別にいいじゃないの”となるかもしれないけれど、“セコい”ことは日本ではものすごく軽蔑されますね。セコいことをやる金持ちは嫌われる。

みんなの介護 世間から軽蔑されてしまったら、国政選挙では不利になってしまいます。

高須 そうですね。それはつまり、義理人情といった日本の古い価値観がいまだに生きているということです。筋を通して肉弾攻撃をする人を好むのは日本独特の文化ですよ。でも、政治家が壊しますもんね。

みんなの介護 政治家になった後に筋を通すことがまた難しそうですが…。

高須 議会制民主主義だから、直接には全員の意見は通らないですからね。私はね、昔の帝国議会のように衆議院と貴族院にしたほうがいいと思っています。貴族院は税金をたくさん支払っている人に限ってしまえば、貴族院議員は多額の納税によって選ばれているわけだから誇らしいだろうと。昔は、誇りのために家財道具を投げ売った人が日本にはたくさんいたんですよ。

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