- 2016年09月29日 06:00
大混乱必至「就活の仕組みが根本から変わる」
19年卒生以降就職率低下の危機
9月12日、経団連から2018年入社の採用スケジュールが「今年と同様」と発表された。15年採用までは大学3年の12月に会社説明会、4月に選考(採用面接)が解禁されていたが、16年採用は3月に説明会、8月に選考解禁に。さらに17年採用は3月に説明会、6月に選考解禁と2年連続でスケジュール変更が行われてきた。
「特に16年採用では混乱が多かったですね。学生側はスケジュール感がつかめず、いつ何をすればいいのかがわからない。企業側は、学生人気の高い大手がスケジュール通り選考するために、先に選考を行った中堅・中小の内定を辞退する学生が相次ぎました。
それに比べると、今年は大きな混乱はなかったようです。経団連が会員企業を対象にしたアンケートでも、約7割が16年採用の日程より評価すると回答しています。一方、説明会から選考までの期間が3カ月と過去最短だったこともあり、学生にとって『見たことのある』金融や食品メーカーなど大手のBtoC企業に人気が集まりました。今の学生が安定志向ということもありますが、準備期間が短いとBtoB企業まで目が向きにくいのです。混乱がなかったのは、売り手市場のおかげもあります。全体的に内定がとりやすく、学生からの不満が抑えられているのではないでしょうか」
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大卒有効求人倍率
こう話すのは、採用アナリストの谷出正直氏だ。新卒の有効求人倍率は1.74倍と昨年の1.73倍からわずかに上昇し、5年連続の上昇となった。求人総数も前年比で1.5万人増加している。しかし、円安やアベノミクス効果で業績が好転したのは過去の話。円高や中国の景気減速懸念などにより、減益を予測する企業も増えてきている。それにもかかわらず採用抑制が起きないのは、前年の採用で予定通りの人数を確保できなかった企業が多かったからだと言えそうだ。来年以降も学生にとって有利な状況が続くとは限らない。さらに、経団連は来春までに19年の採用スケジュールを発表するとしているが、ここにきてスケジュールよりも大きな変更があるかもしれないという。
「16年採用のスケジュールの変更は、就活を後ろ倒しにすることで『学生を学業に専念させたい』『多くの学生を留学させたい(留学しても就活に影響がないスケジュールを組みたい)』という政府の意向を汲んだものでした。いつの時代も企業はできるだけ早く学生と接点を持ち、優秀な学生を採用したいと思っています。そこで、選考解禁前に『インターンシップ』に注力するのが最近の流れ。12年採用時には1909社だったインターンシップ実施企業(大手インターンシップサイト掲載企業数)は、18年採用時には8508社にまで増えています。
一方、政府も入社後3年で3割が退職している現状を鑑みて、多くの企業でインターンシップを行い、入社後のミスマッチを避けたいと考えています。そのため、インターンシップで得た学生情報を採用に使用することが話し合われています。早ければ導入は19年採用から」(谷出氏)
谷出氏によれば、就業体験をさせる従来のインターンシップではなく、会社説明会に近い内容も多いという。「ワンデーインターンシップ」などと呼び、セミナーを行うだけのものもある。そのため、インターンシップで早期退職者数が減少するかは疑問だ。さらにこれから多くの混乱が起きる。
「インターンシップが選考に利用されるようになれば、3年生どころか1年生から内定を出すこともできます。すると、企業は実質的に1年中採用の門戸を開くことになり、日本的な『新卒一括採用』という仕組みが崩れるでしょう。そうなれば、企業が独自に設けた一定の基準を超える者だけを随時採用することになるため、能力的に下位の学生は内定をとりづらくなります。ワークスタイルの多様化が叫ばれる今、一括採用はたしかに旧時代的。ですが、卒業後即就職という目安すらなくなると、ズルズルと就職しない学生も増える恐れがあります」(谷出氏)
この先就活は、どう変わっていくのだろうか。
谷出正直
エン・ジャパンで新卒採用支援事業に約11年間携わった後、独立。採用コンサルティングやセミナー講師、勉強会の主宰、メルマガの配信などで、採用情報の発信を行う。
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