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移民法を整備しないと介護業界の労働力は確保できないですよ - 「賢人論。」第2回田原総一朗氏(中編)

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アベノミクスの『新3本の矢』でも打ち出された、「介護離職ゼロ」という目標。それは、現状の日本社会において介護問題がどれだけ逼迫しているか、ということの現れとも言えるだろう。介護業界に立ちはだかる「人手不足」の問題、田原氏がその打開策として打ち出すのは「移民」による労働力確保だ。そのための法律制定の必要性、そしてなぜそれが進まないのか……?政治の現状から私達のリテラシーに起因することまで、田原氏ならではの視点で問題の原因を語っていただいた。

取材・文/川口有紀(フリート) 撮影/伊原正浩

「移民のことを言うと選挙で落選する」というジンクス

みんなの介護 平均寿命自体が伸びることで、超高齢社会に突入している現状がありますが、今のこの状況をどう感じますか?

田原 平均寿命が増えれば、介護が必要な人は増えますよ。どうしてもね。でも介護施設はまだまだ足りないし、増やしたほうがいいと思う。

みんなの介護 しかし、課題自体はみんな把握していても、介護従事者の確保ができないという問題がありますよね。

田原 そう、人の確保も大事ですよ。現在の介護従事者が160万人、そして試算では、これから10年後の2025年には250万人以上が必要となる。これは大変ですよ。だからやはり僕は、移民を受け入れることしか解決策はないと思う。

みんなの介護 現状でも介護業界は海外から労働力を受け入れる姿勢を示していますが、移民を労働力として活用すべきだと。

田原 日本という国は全く遅れた国で、例えばドイツにしてもフランスにしても2003年、4年ごろに移民法ができてます。韓国も2007年に移民法ができている。でも日本にはないんですよ。移民に対する対策を、全く政府がやっていない。原因として、日本ではなんとなく「移民のことを言い出すと、政治家は選挙で落選する」という風潮があるんですね。だから誰も声を挙げなくなってしまった。僕は、安倍さんがこの先内閣総理大臣を続けるなら、やるべきだと思ってます。

みんなの介護 移民法とは、具体的にはどういう内容を想定していますか?

田原 きちんと言語の教育をして、きちんとした受け入れをするということを法で定めるということですね。現状の介護業界での外国人労働者の現状は、安かろう悪かろうというイメージが強く、非常に待遇が悪い。日本で外国人労働者を雇っている人たちの7割が違法というデータもある。だからそのあたりを法律できちんと作って、きちんと整備しないとだめですよね。それは介護だけでなく、漁業や製造業など、どの分野でもそうですが。

みんなの介護 確かに、移民の受け入れ対策に関しては日本は遅れているのが現状ですよね。

田原 日本は国民に対する海外移民の割合が1.6%で、世界で151番目ですよ。異常に遅れている。難民法もないしね。理由は明白、役人が逃げてるんです。

みんなの介護 先ほど言われた「移民対策をやると選挙に落ちる」というイメージも大きいと。

田原 移民が増えると犯罪が増えるというイメージもあるからなんですよ。でもね、そんなのはウソで、全然増えてないんです。2002年くらいから比べると、今は外国人による犯罪の率が1/4くらいに減っていて、それはまったくの誤解なんですよ。まあそのへんはマスコミも悪いよね。外国人が犯罪を犯すと、「◯◯人が犯罪を~」というのばかり流すから。

みんなの介護 外国人の介護従事者を受け入れる場合、コミュニケーションの問題も大きいようです。

田原 でも、そこは言葉をきちんと教育すればいいわけです。というより、そうせざるを得ないよね、人材自体がいないんだから。施設にしても在宅介護にしても介護従事者が足りない、施設に入ることができたとしても、いるのが外国人の介護従事者だけという状況もありうる。でもだったら、入ったほうがいいじゃない?



若い世代自体が減っている今、移民の受け入れは必然

みんなの介護 先ほどの犯罪率のイメージもそうですが、なんとなく、日本全体で「移民を受け入れたくない」という風潮は確かにありますよね。なぜなんでしょう?

田原 日本は島国だからね。もともと、日本には古来から移民がたくさんいるわけですよ。中国や朝鮮半島から渡ってきた人たちがいるわけだから。あと、今の企業に関しては外国人労働者自体は増えてるよね。おかしいのは、大学卒の外国人を受け入れる場合は来て欲しいんだよ。まあ、今の日本には海外の優秀な大学卒の労働者はなかなか来てくれないんだけどね。かといって、学歴のない外国人に対しては差別がある。

みんなの介護 日本人からすると、自分たちにメリットがある人は受けれたい、でもそうでない人たちに対しては「仕事がとられてしまう」という懸念があるんでしょうか?

田原 いや、今は人材自体がそもそも少ないんだから。取られるワケがないんですよ。今ファストフード店がどんどん閉店してるでしょう? 働く人自体が減ってるんです、若い人口がそもそも減ってるわけだから。

みんなの介護 そう考えると、前提として若い世代の介護者は増えない、と。

田原 若い人自体が減ってるから、そこはもう仕方ないでしょう。

みんなの介護 だとしたら、もう海外からの労働力に頼るしかないわけですよね。

田原 面白い話があって、野球選手で外国人選手がいるでしょう? でも彼らは「ゲストワーカー」なわけです。で、相撲に関しては「移民」なんだよね。その感覚の違いが興味深いなと。

みんなの介護 だとしたら、相撲の外国力士に対する感情を、外国人移民に対して持てるようになったらいいわけですよね。でも、それでも外国人に介護をされたくない!という人がいたら…。

田原 そんな人はね、施設に入らなければいいんですよ(笑)。一人で生きていけばいい。

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