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正気とは思えない「新・高速炉開発会議」

1兆円あまりの巨費をついやしながら、20年かけてほとんど何の役にも立たなかった高速増殖炉「もんじゅ」について、政府は原子力関係閣僚会議で廃炉を含む抜本的な見直しを決めたということだ。ところが同時に新しい「高速炉開発会議」の設置も決めている。「増殖」の字は消したが、核燃料サイクル推進のためには高速炉の研究開発は必要という立場だそうだ。

 核燃料サイクルは、原発でウランを燃料として燃やしたあと、再処理してプルトニウムを取り出し、これをまた利用することで成り立つ。高速増殖炉なら、劣化ウランから出るプルトニウムを燃やして、消費した以上のプルトニウムを作り出せるので「夢の原子炉」と言われた。しかし原理的な困難があって、日本の「もんじゅ」を含めて成功例がなく、世界的に放棄された。

 プルトニウムは核兵器の原料になるが、燃料にするのは難しい。ウランと混ぜてMOX(モックス)燃料にする方法もあるが、危険性は増すと言われている。原発が稼働するほど使用済み燃料がたまり、再処理してもプルトニウムが増えるが、この使い道がないのだ。「増殖」しない「高速炉」は、プルトニウムの焼却炉という位置づけがあるのだろう。焼却炉でも、熱は出るからある程度の発電はできるだろうが、恐ろしく高価な電気になりそうだ。

 つまりプルトニウムを消費する技術を確立しないと、原発の運転を安定的に継続できないので困るという、逆立ちした理屈で「高速炉開発」が出てきているのがわかる。つまりこれは「原子力村」の生き残り策なのだ。あわよくば「もんじゅ」の廃炉を提供した上での「焼け太り」を期待していることだろう。しかしプルトニウムを燃料にするのは「原爆で湯を沸かす」ようなもので、難しいのがわかっている。

 そもそも原発で使用済みになったウランを、再処理する必然性はないのだ。そのまま廃棄物として最終処分する選択肢がある。今まではプルトニウムなど潜在エネルギーの原料という位置づけで保管してきたのだが、プルトニウムは不要と考えれば、話は簡単になる。現に使用済みウランを直接処分した例は皆無ではない。プルトニウムの始末の悪さが明らかになってきている今、研究すべきは直接処分との比較だろう。

 放射性物質は、手をかければかけるほど汚染物質を増やしてしまう。つまり、いじればいじるほど大きくなる始末の悪い相手なのだ。こんなものを社会の中枢に取り込んでいたら、人類の未来が明るくなるわけがないと私は思っている。要は核エネルギーをなるべく遠ざけて、人間社会の安全性を高めるかどうかという、政治的な判断が重要になるのだ。幸いにして「原発が動いていない日本」が破綻もせず、温暖化ガスの排出も増やしていないという評価を得ている。この現状は大事にしたい。

 にもかかわらず、原発を依然として「重要なベースロード電源」と位置づけ、再稼働への手続きを進めている安倍政権は支持できない。ましてプルトニウム発電の研究開発などは論外である。

(追記・コメント欄に「恩義」さんから紹介して頂いたサイトを表示しておきます。最後の方にある「電気がなくてもいいから原発はいやだ。」という言葉が、悲しくも痛切です。)

http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

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