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焦点: 日銀、金利回帰で持続性狙う リフレ派取り込み機動性も確保

[東京 21日 ロイター] - 日銀が21日の金融政策決定会合で、「量」から「金利」へ金融政策の枠組み転換に踏み切った狙いとして、政策の持続性と自由度の確保があったとみられている。同時に「総括的な検証」を通じ、いわゆる「リフレ派」政策委員の賛成も取り付け、今後の政策運営の機動性も得たが、物価2%の早期実現への有効性に対し、民間エコノミストの中では懐疑的な見方が多い。

マイナス金利の深掘りばかりに注目が集まりがちだった今回の金融政策決定会合で、日銀が切ったカードは量から利回り曲線(イールドカーブ)への枠組み転換だった。

BOJウオッチャーの中には、この新しい枠組みによって、物理的な限界説がささやかれていた国債買い入れの柔軟運用が可能となるとの見方が広がっている。

国債買い入れ額を年間80兆円程度増加させる現行の規模を「めどとする」と明記したが、黒田東彦総裁は会合後の会見で、イールドカーブ・コントロールを採用することによって国債買い入れ額が「増減することはあり得る」と断言。これによって「政策の持続性が高まる」とも述べ、緩和限界説の払しょくに努めた。

今回の枠組み変更は、物価見通しの下方修正を迫られるたびに市場で繰り返される追加緩和期待をけん制する狙いもありそうだ。

たとえば、急激な円高・株安が進行せず、産業界などからの追加緩和圧力が小さい場合は、ターゲットとする金利水準が景気を過熱も引き締めもしない均衡実質金利(中立金利)との関係で十分緩和的と説明することも可能。

景気が回復基調にあり、経済の構造改革が進めば、潜在成長率を示す均衡実質金利は上昇するのが自然だからだ。

今回の枠組み変更は、同時に発表された「総括的な検証」を踏まえて打ち出されたが、検証結果に基づいて枠組みを変えたことで、岩田規久男副総裁や原田泰審議委員ら量の効果を重視する、いわゆる「リフレ派」と目されるメンバーの賛成を取り付けることができ、そのことが最大の成果との見方も複数の関係者から聞かれる。

9人の政策委員のうち、総括検証や金利を操作対象にすることに反対票を投じたのは、佐藤健裕、木内登英のエコノミスト出身の両審議委員で、7人が賛成に回った。

日銀では、マイナス金利導入当初から、政策の枠組みを量から金利に転換することを狙っていた節があるが、リフレ派メンバーの同意を得られるかどうかが大きなポイントになっていた。

今回、枠組み変更の土台となった総括検証で7人の賛同を獲得し、今後、追加緩和が必要と判断した場合、これまで繰り返された5対4という薄氷の採決が回避される可能性が大きくなった。

日銀内のパワーバランスを注視している市場関係者からは「政策の機動性が高まる」(国内金融機関)との受け止めも出ている。

もっとも、政策の持続性や機動性が確保されても、新たな枠組みが2%の物価目標の早期実現にどれほどの有効なのか、懐疑的な見方が多い。さまざまな要因で変動する長期金利を本当に操作できるのか、とターゲットの設定自体を疑問視する声も市場では少なくない。

日銀の決定を受けた金融市場はとりあえず株高・円安で反応したものの、株価上昇の背景は追加緩和策の軸の1つとなるマイナス金利の深掘りが見送れたことが主因。21日の欧州市場に入ると、日銀の新スキームにおける緩和効果に疑問の声も出て、ドル/円<JPY=EBS>は100円台後半と円高方向に動いている。

黒田総裁は会見で「量・質・金利で追加緩和の余地はある」とあらためて表明したが、金融機関を中心にマイナス金利の深掘りには依然として批判的な声が多い。機動的な政策対応と、その前提となる市場との円滑な対話の道筋が構築できるのか。

黒田日銀は早速、新スキームの実効性を問われることになりそうだ。

*見出しを修正しました。

(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)

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