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自動車メーカーと“下請け“の関係

安倍晋三首相が15日、日本商工会議所が都内で開いた通常会員総会の席上、「中小企業の下請け取引の条件改善に全力で取り組む」と表明したことを受けて、世耕弘成経済産業相は、日本自動車工業会会長の西川廣人氏に協力を要請しました。

「取引適正化はすでに取り組んでいることであり、浸透しているものと認識しています。それを広く浸透させることを政府が狙っていることは十分わかっています。行動計画に落として、具体的にフォローアップします。我々メーカーがティア1の先に直接手を下すことはむずかしいが、工夫して進めていきます」

西川さんは、同日、都内で開かれた日本自動車工業会の定例会見の席上、下請けとの取引について課題をどう認識しているかという記者からの質問に対して、そのように答えました。

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※自工会定例会見でコメントする西川氏

政府の狙いは、大企業による一律の原価低減要請など価格決定方法を見直すことにより、中小企業の業績を向上させ、賃上げ改善につなげることだといっていいでしょう。これは、これで正しいと思いますね。

経済産業省が、真っ先に自動車業界に下請け取引の条件改善を要請したのは、自動車産業の裾野が広く、影響力が大きいからにほかなりません。

ただ、かりにも、大企業が下請けに対して、実際に不当な「買いたたき」をしているという見方があるとすれば、あまりにも短絡的といえるのではないでしょうか。

自動車メーカーは部品メーカーと定期的に納入価格の改定交渉を実施しています。それは「買いたたき」とは違いますね。

むしろ、トヨタの強さは、原価低減活動にこそあるといえます。トヨタが乾いた手拭いを絞るといわれたのは、はるか昔のことです。メーカーとサプライヤーの間で、協力してコスト削減を行い、その成果は両社で分けるのがルールです。

現に、トヨタは部品メーカーと共同でコスト削減を進めていますが、トヨタは、その成果を一人占めしているわけではありません。コスト削減に向けた、互いの切磋琢磨が、競争力の源泉になると、トヨタは語っています。

実際、グローバル競争の真っただ中にある自動車産業は、「買いたたき」で競争力をアップできるとは考えていませんね。

ある一次部品メーカーは、「我々は富士山の裾野である」といって、胸を張りました。部品メーカーが裾野を支えているからこそ、富士山は高くそびえているのだと自負しているのです。共存共栄の思想です。

つまり、メーカーと部品メーカーは共存共栄の関係にあります。むしろ、そうした関係性の中でさらに付加価値を上げて競争力向上につなげることこそが、国際競争力アップの源泉そのものです。

かりにも、下請け取引の監視が強まれば、自動車メーカーの国際競争力低下が懸念されます。国内での調達コストが高くなれば、自動車メーカーは取引先を海外に移すでしょう。

西川さんは、次のようにコメントしました。
「利益配分ではなく、皆さんにどんどん儲けていただいて、将来の技術投資、人材投資に回すのは当然のことです。そういう状態をつくらないと発展はない。それをやって自動車業界全体の競争力を上げていきたい」

不当な買いたたきなど、下請け法違反は論外ですが、単に下請けを保護する姿勢を強めるだけでは、競争力低下は免れませんよね。

日本の部品メーカーは現在、新興国において現地部品メーカーとの競争に直面しています。守られるだけでは、競争力をつけることはできませんね。

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