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国民に介護を義務化する総動員、大混乱の時代がいつ来てもおかしくない状況です - 「賢人論。」第7回(前編)やまもといちろう氏

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貧乏な老人の救いのなさが、徐々に表面化している現状。日本はもう豊かな国とは言えないレベルになっていく

みんなの介護 プライドをもってやっているから、収入が少なくても、困っている要介護高齢者を介護しよう!という介護職員によって日本の介護はもっている、という点も共通でしょうか?

やまもと 日勤だけでヘトヘトになっていても、夜勤をやってでも必要な人には介護し続けるっていう、倫理観の高い職員がいるから介護の現場はもっていると思うんですよ。ただし、それもどこかで擦り切れる。

いくら倫理的で正しい仕事でも、人生はあるし、家庭もある。良い暮らしもしたいけど、いまの仕組みでは待遇の劇的な改善は期待できない。そういう未来の見えづらい業界になると、どうしても疲れてしまうんです。待機老人とか介護難民みたいな問題がもっと大きくなってきたときに、どういうサポートをしていくのかということが、まだ全然決まっていないですよね。

みんなの介護 例えば医療だと、今までも地域医療に関わる病院が当番制のような形で担当するなど、医師会としての取り組みが行われてきましたが。

やまもと それがもう、立ち行かなくなりますよ。つまり、義務にする時代がくるということであり、介護だって同じように、総動員の、大混乱になる。「週4時間は介護部門に従事しなくてはならない」とか、「車を持っている人は送迎をしなければならない」とか。一口に「地域で高齢者を支えあえ」といっても、実態はこういう役務が発生したとき、無報酬で誰が進んで介護をするのか、という話になってしまいます。そんな、いわゆる“赤紙”のようなものが来る時代がきてもおかしくない状況ですよ。

みんなの介護 そこまで逼迫しているということを聞くとなおさら、その状況についてのきちんとした説明をして欲しいものです。

やまもと 先ほども言った通り、そうしたことをちゃんと言わなきゃいけないと議題に上げても、「それは国民からの信頼の放棄だ」と言われてしまいます。だけど私は、ずっと言っています。負け戦であることを認めましょうよ、ポツダム宣言を受け入れましょうよ、と。

みんなの介護 悪あがきしてる場合じゃない、という感じですね。

やまもと みんなね、キレイ事は言うんですよ。東京のような人口の高集積地にしても、地方と同じ建て付けでやっているからこそ、ひとつの国、ひとつの法律、ひとつの国民で、これまではやってこれたという自負がある。地方生活者も首都圏在住者も、日本人同士だからと同じ仕組みで融通しあって、我慢して、何とか成り立ってきたのが日本社会だということです。もちろんその意識はものすごく大事なことだとは思いますが、それは国として余裕があった頃の話です。

今は余裕がなくなりました。国として、貧困が発生し始めているのが現状であり、より合理的に予算を使っていかないといけないわけです。もう具体的に、子育て世代の貧困や、貧乏な老人の救いのなさが、徐々に表面化している状態で、とても豊かな国、幸せな社会とは言えないレベルになっていくことが見えている。無駄を切り詰め、合理的な政策を実現しないと、我々の次の世代にものすごくでかいツケがまわるとわかっている中で、そのやり方で大丈夫なのか?と。私は会議なんかでもよく提議するんですけど、じゃあ具体的にどうすればいいのか?というところで立ち止まってしまう。難しい問題です。

いくつか腹案や解はあるんですが、右肩上がりで経済成長してきた時代に制度設計された日本では、なかなか受け入れられないものばかりなのが現実です。

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