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イラク戦争をめぐる私的検証➄-罪深い屁理屈の展開

少し前に遡るが、私がイラク戦争肯定論を機関紙に寄稿した背景には、当時のフセイン・イラク大統領の横暴な専制君主ぶりがあり、同国北部のクルド人虐殺などの動きもあって、これを懲らしめるべく米国が立ち上るのは当然との見方があった。座して平和を待つだけではなく、軍事行動をとった米軍を支持することも許されるという公明党の立場を、どう有権者、読者に伝え、理解をして貰うか。必死でギリギリと考えたものだった

▼イラクのクウェート侵略に国際社会が怒りを持っていた事実は重く、「無法なならず者イラク」への非難の眼差しは覆いがたいものがあった。そんな中で、私の湾岸戦争から13年越しのイラク戦争という捉え方が生まれた。つまり、湾岸戦争は一旦終わっていて、連続していないなかでの新たな戦争なら、米軍の先制攻撃は批判されて当然である。しかし、イラクの侵略が始まっていらい、両者間で幾度かの戦闘がほぼ間断なく続いていたとみるなら、話は変わってくる。不正行為を撃つということで、米軍のイラク攻撃は”先制”ではなくなってくるわけだ。こうした論理を可能にするために「13年戦争論」は、必要な前提事項だったのである

▼開戦当時、大量破壊兵器のあるなしが大きな注目を集めていた。しかし、その後の戦争の進展の中でも発見されなかった。ゆえに、様々な批判が巻き起こった。しかし、私はくじけなかった。小型の化学・生物兵器であっても大量に人を殺戮できるし、今発見できていないのは、開戦の特殊な戦闘状況の中で、消失してしまったのかもしれない。あるいは誰かがどこかに持ち去ったということも考え得るとといった屁理屈を盛んに喧伝したものである。日米同盟の絆を確信してのことではあったのだが、今となってはいささか肩入れしすぎの感は否めない

▼そうしたことを経て、やがて大量破壊兵器がそもそもなかったことを認める情報が、当事者たる米英双方から発信されたのである。まさに二階に上がって梯子を外されるというのはこの事だとの思いは強かった。「それ見たことか。せめて仏独のように、アメリカに注文を付けておくべきであった。誤れる情報を唯々諾々と受け入れ、従属しきった姿勢をとったのは、日本外交の大失態だ」との見方が世の中に定着していった。誤った見方を得々として提示した私の罪も少なくない。機関紙上で提起した情報分析の誤りは、せめて機関誌上で反省しておきたいというのが私の最低限の矜持というものであった。(2016・9・19)

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