記事

やっぱり日本の裁判所は安保では不条理に踏み込めなかった

 沖縄の辺野古の新基地建設を巡り、政府が沖縄県を訴えていた裁判で、福岡高裁那覇支部は9月16日、国側の請求を認め、県側敗訴の判決を言い渡したが、裁判所はこと安全保障や外交については、国の主張をそのまま受け入れるような判決しか出せないことが、改めて明らかになる残念な判決だった。

 いわゆる「辺野古違法確認訴訟」は、沖縄県の翁長雄志知事が基地建設の前提となる埋め立ての前知事による承認を取り消したことに対し、政府内で埋め立て工事を担当する石井啓一国土交通相が、承認の取り消しは違法と訴えていたもの。

 福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は判決の中で、「普天間の危険を除去するには辺野古以外ない」、「県外移転はできないとする国の判断は尊重すべき」だとして、知事の承認取り消しを違法と断じた。

 翁長知事は仲井真弘多前知事が2014年12月の知事選で翁長氏に大敗を喫した後、退任直前に決定した埋め立ての承認が、適正な手続きを踏んでいないとして、これを取り消す決定をしていた。

 沖縄県側は上告の意思を明らかにしている。

 この判決で裁判所は、沖縄県側の主張は一顧だにしない一方で、「日米間の信頼関係が破壊される」、「移転は沖縄県の基地負担軽減に資するもの」など具体的な理由をあげて政府側の主張を全面的に受け入れている。

 最終的な判断が国の勝訴となるにしても、この判決を見る限り、政府の言い分はほぼ丸のみされているのに対し、沖縄側の主張が真面目に考慮された跡がほとんど見られないところが目立つ。これは、こと安全保障や外交に関わる問題では、国は地方自治体の意思を無視することが許されるとの解釈が示されたと見ることができる内容になっており、今後、国と地方の関係において、様々な影響が出てくる可能性がある。

 この判決の問題点と今後の影響について、憲法学者の木村草太氏に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。

あわせて読みたい

「普天間基地移設問題」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    池上風? たかまつななは殻破るか

    宇佐美典也

  2. 2

    河野氏 憶測のワクチン報道危惧

    河野太郎

  3. 3

    即入院の石原伸晃氏 特権許すな

    木走正水(きばしりまさみず)

  4. 4

    迫る節電要請 電力自由化は失敗

    PRESIDENT Online

  5. 5

    菅首相のワクチン推奨は逆効果に

    山崎 毅(食の安全と安心)

  6. 6

    「おじさん」は女性にも存在する

    PRESIDENT Online

  7. 7

    台湾の自我 中国と関係薄れたか

    ヒロ

  8. 8

    慰安婦判決 文政権はなぜ弱腰に

    文春オンライン

  9. 9

    ワクチン副反応に「備えできる」

    ABEMA TIMES

  10. 10

    10万円再給付 対象を絞る必要性

    コクバ幸之助

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。