- 2016年09月17日 19:10
厚生労働省は、霞が関の中で一番ブラックな職場。それでも職員が残って働くのは「志」があるからなんです―「賢人論。」第9回宇佐美典也氏(後編)
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高齢者も含め、ギャンブル依存症の人たちを支援する基金を起ち上げたい
みんなの介護 ところで、宇佐美さんは今、ギャンブル依存症団体のアドバイザーをされているそうですね。実は介護業界とパチンコとの関連性も、最近では指摘されるようになっているんですが、ご存知ですか?
宇佐美 もちろん知っていますよ。ギャンブル依存症は老若男女問わないものですが、孤独で、やることなくてパチンコにハマってしまって…という高齢者は多いと思います。この前あるパチンコ屋の元店長の方が「毎日朝から晩までパチンコを打ちに来る、おそらく依存症の高齢の女性客の方が、パチンコのリーチがかかったときにモニター越しに手を合わせて自分に大当たりをお祈りしているのを見て、パチンコ業界を辞めることを決意した。」というようなことを仰っていました。生々しいですね。
みんなの介護 昨今では、デイサービスのレクリエーションの一環として「カジノ型デイサービス」といった形態も出てきたりしています。その敷地の横にパチンコ屋さんがあって、デイサービスが終わってからパチンコ屋さんに通うという高齢者もいるようです。
宇佐美 う〜ん、それはなんとも言えないです。ただ高齢者がそれでギャンブルにハマってしまったらどうするのだろう、という風には思います。個人的には家族持ち、子持ちの親でギャンブル依存症になってしまう方がたくさんいて、それに対する社会的対策が打たれていないことが問題だと思っています。そうすると何がまずいかというと、次の世代への二次被害が出てしまうことなんですよね。子どもが高校に行けない、大学に行けないとか、ひどい場合には児童虐待に繋がったりもするので。
みんなの介護 ギャンブル依存症って、ある意味で病気ですよね。たとえば高齢者に限ると、治すために病院に通って、その医療費がまた膨れ上がって…という負のスパイラルに陥りますね。
宇佐美 う〜ん、そこは必ず医療費の議論ではないんですよ。ギャンブル依存症には医療機関による「治療」という行為はあまりなじまなくて、支援者によって社会復帰に導いていく「回復」というアプローチが用いられます。依存症は完治することがない病気で1~2年ギャンブルをしなかったけど、なにかのきっかけで再発して大きな借金を抱えるなんていう例もたくさんあって、一生戦い続ける病気なのが難しいところです。
みんなの介護 やっかいな現象なんですね…。でも、依存症になったとしても、ギャンブルに使うお金がなくなったら、したくてもできないですよね
宇佐美 そうです。ただ依存症の罹患者は、借金に対するハードルが下がっていますし、たとえウソをついてでもギャンブルをするためのお金を引っ張ってこようとするので、その結果信頼を失い、どんどんどんどん社会的に孤立して行き詰まって…ひどい人になると自殺に及んでしまう。依存症の罹患者はギャンブルをやめられないんですよ、やめたくても、やめたくてもやめられなくて、自分を嫌いになって自殺してしまう。
「これではダメだ。自分はギャンブル依存症なんだ」と自ら認めて、そこから回復するための周囲のサポートが必要なんですよ。自力でたちなおるのは難しい。全然道筋は立っていないのですが、私自身は、ギャンブル業界が依存症罹患者の社会復帰やその家族の経済的問題を支援するための基金を作るべきなのではないかと思っています。特にギャンブル依存症の親を持つ児童向けの奨学金とか、生活扶助とか、そういうものがないと不幸が連鎖してしまいます。
みんなの介護 そうした宇佐美さんの活動が、ギャンブル依存症や、そうなってしまいそうな高齢者を守る動きにもつながることを期待しています。



