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原発は経済活動にとってのドーピング

福島第一原発の事故で原発の安全神話が崩壊して以来、多くの日本国民が「原発はなくせるものならなくしたい」と感じている。問題はこの「なくせるものなら」という部分。特に読売新聞や産經新聞などの「親原発メディア」が、「原発なしでは来年の夏は乗り切れない」「再生可能エネルギーだけでは日本の経済の発展はありえない」などのメッセージを送り続けているため、「そうは言っても原発なしでは無理なのかも」と感じはじめている人たちも少なくはない。

そんな中での、菅首相の「脱原発依存宣言」は、私たち自身に「日本をどんな国にしたいのか」「私たち国民にとって何が大切なのか」を考える絶好の機会を与えてくれたと言える。「延命のための人気とりだ」「退陣を表明した総理が何を言っても意味がない」などと本質的ではない批判をする前に、「脱原発依存」とは私たちの将来にとってどんな意味を持つのかをしっかりと理解した上で、「脱原発依存」という政策そのものに関する議論を戦わせるべきである。

そこで、原発依存の抱える問題点と、いきなり再生可能エネルギーにシフトするリスクを一人でも多くの人に理解してもらうために、簡単な「たとえ話」を作ってみた。

◇ ◇ ◇

簡単に言えば、原発は日本の経済活動にとってのドーピングのようなものである。活発な経済活動をするには元気(=エネルギー)が必要だが、元気の元となる肉(=化石燃料)は日本にはあまりない。しかたがないので、多少の副作用を承知でドーピング(=原発)に手を出したのが戦後の日本なのである。

ドーピング(=原発)により記録(=GNP)を延ばし、一時はアメリカに次ぐ世界第二位の地位を得た日本だが、薬物依存(=原発依存)のために体(=国土、国民の健康)が少しづつ蝕まれて行った。福島第一での事故の前も、たびたび小さな病気(=原発事故)は起こしていたが、大きな病気(=シビアアクシデント)にはなるわけがないという過信(=安全神話)のために、十分な健康管理(=安全対策)をして来なかったのである。

その結果、かかってしまったのが今回の大病(=シビアアクシデント)。体の一部が二度と使えなくなってしまうほどの大病で、後遺症(=被曝による晩発性癌)も避けられないが、ここまで薬物依存(=原発依存)が進んでしまった今、ドーピングなしでスポーツ(=経済活動)ができるかどうかの自信がない。脳の一部(=経産省)がドーピング(=原発)の安全宣言をしたのも、足(=経団連)がドーピングの再開を促すのも、薬物依存症の一症状だ。

とりあえず輸入した肉(=化石燃料)を食べて基礎体力だけは維持しているが、今後輸入にたよらずに記録を延ばしていくためには何か肉に変わる元気の元(=エネルギー)を手に入れる必要がある。

ベジタリアン(再生可能エネルギー推進派)たちはドーピングも肉もやめて野菜(=再生可能エネルギー)だけを食えというが、野菜を食べただけでは簡単には元気は出ないし、そのためには相当な量の野菜を食べなければならず、現実的ではない。

一流のスポーツ選手(=先進国)としての地位を維持するためには、短期的にはドーピング(=原発)、もしくは肉(=化石燃料)で現在の体力を維持し、もっと野菜(=再生可能エネルギー)を効率良く摂取する方法が見つかるまでなんとかしのぐしかない、というのが今の日本の状況である。

◇ ◇ ◇

ちなみに、この「たとえ話」を元にした童話もしくはビデオを作るのが良いのではないかと思う。経産省が作った「プルトニウムは飲んでも安心」みたいなデタラメなビデオを子供たちに見せるよりもずっと有意義だ。

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