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ギリシャの債務削減

 ギリシャを支援するために、ギリシャの債務を大幅に削減する案が浮上しています。なんと元本の半分以上、50〜60%も削減してあげよう、と。

 どう思います? この話。

 ギリシャにとっては、まさに恵みの雨といっていいでしょう。何故ならば借りたお金の半分以上をチャラにしてもらえるからなのです。その一方、お金をギリシャに貸した銀行にとっては本当につらい話です。貸したお金の半分以上が返ってこないなんて。それも、貸した相手が倒産とか、破綻したというのなら分かる訳ですが‥ヨーロッパの政治家は「ギリシャを破綻させることはない」と今でも言っているのです。

 破綻もしていない融資先の債権を何故半分以上もチャラにしてあげなければいけないのか? 破綻に至っていない場合には、償還時期を延長したり、金利を引き下げて上げる程度ではないのか?

 しかし、どんなにギリシャに強く迫っても、返せないものは返せない! つまり、ギリシャを破綻させることはない、なんて幾ら政治家が言っても、実態としては破綻しているから、債務削減の話が浮上してくるのです。それに、実質的に破綻しているからこそ、IMFが救済に乗り出してもいるのです。

 いずれにしても、何故ギリシャは借りたお金をちゃんと返そうとしないのか? 今すぐ全部を返すことはできなくても、幾ら時間がかかってもいいから、借りたものは全部返すべきではないのか? まあ、そんな疑問が生じると思うのです。恐らくギリシャ政府自身も、本当は全額返済することを望んでいるかもしれません。

 でも、銀行側があくまでもそういう態度を取るのであれば、ギリシャの国民には途方もない犠牲が強いられることになるでしょう。これまでに実施された増税や年金の引き下げやリストラなどに加え、さらに今までの倍の犠牲を払えなどと言われると、もはや国民の忍耐は限界を超えて、多くの人々が海外へ脱出するかもしれません。もし、そんなことにでもなれば、ギリシャは、本当に国家とて破綻してしまうかもしれません。税収は益々落ち込み、事態は益々悪化するばかりだ、と。

 だったら、余り過大な要求をギリシャ国民に求めるよりも実現可能な要求にとどめた方が、銀行側の損失を最小限度に食い止めることになるでしょう。

 仮に1億円の借金があるサラリーマンがいたとして、1億円の完済を求めるのと、例えば4千万円ほどに元本を削減してあげるのとでは、どちらの方がより多く回収することができるか?

 そのサラリーマンは、1億円と聞いて、そんな借金を返すことなど不可能だと思って自暴自棄になってしまうかもしれません。しかし、返済すべき元本を圧縮してあげると、いずれ完済も可能であると考え、働く気を起こさせる、と。

 つまり、銀行側としては、100%要求しても、それは無理だと分かっているから、ある程度の債務削減に応じる訳です。何も慈悲深いから債務を削減してあげるのではなく、計算の上の話であるのです。だから、いろいろなシナリオを考えて100%と0%の間の適当なラインで手を打つことにある訳です。そして、具体的に何パーセントの削減になるかは、全てギリシャの今後の経済や財政の回復の見込み次第であるのです。

 まあ、でも、何故そのような決断をもっと先に行わなかったのでしょう? 

 そのように、ギリシャにお金を貸している銀行側の応分の負担を伴うことなくしては、ギリシャ危機の解決が不可能なこと位予想できたはずなのです。何故、問題を先送りにしてきたのか? 

 それは、政治家が現実から目を背けたからであるのです。つまり、銀行が債務削減に応じることになれば、金融危機に発展しかねず‥それが怖かったということです。で、その一方で、政治家はIMFを自分たちの都合のいいように利用したのです。

 本来であれば、IMFはギリシャの救済に手を出すことはなかったのです。何故ならば、肝心の銀行団の負担が何も決まってもいないのに、ラストリゾートの IMFが先に救済に名乗りを上げることなど、オーソドックスな考えに従えば、ありえないからです。しかし、ヨーロッパの政治家たちは、IMFのトップである専務理事がヨーロッパから輩出されているということもあって、IMFにイージーな対応をさせたのです。

 考えれば考えるほど、政治家たちが事態をより混乱させたとしか思えません

 ユーロ圏の一員であるギリシャが財政破綻を来したということは、言わば、アメリカ合衆国のカリフォルニア州が破綻したようなものなのです。そのようなときに、アメリカはIMFに助けを求めるのか? 

 そんなことはあり得ないのです。仮にカリフォルニア州を助けるというのであれば、連邦政府がカリフォルニア州にお金を融通してやればそれで済むからです。そして、連邦政府はいざとなれば、幾らでも連銀にお札を刷らせることができるのです。

 ギリシャの場合には、取り敢えずユーロ紙幣を渡せばそれで救済が可能です。そして、そのユーロは欧州中央銀行がどれだけでも印刷が可能ですから、本当はIMFに助けを求める必要もなかったのです。

 しかし、ヨーロッパの政治家たちは、そのような判断はしなかった。プロであるIMFに頼んだ方が、何かと都合がいいと判断したのです。確かに、財政再建のプログラムを作成する知識や経験はIMFが一番持っているとも言えるのですが‥でも、ユーロ圏を作り、ヨーロッパの統一を実現しようとするのであれば、そのくらいのことで外部の支援など仰ぐべきではなかったのです。また、ユーロに加盟している国々も、ユーロの目指す理想を今一度認識しなおすのであれば、自分たちは今やヨーロッパ合衆国なのだという位の認識を持つべきであるのです。

 でも、そうはいっても現実には、人々の気持ちはそこまで行ってはいないのです。相変わらず自分の国のことを意識してしまう。だから、何故ギリシャを支援する必要があるのか、なんて発想になってしまうのです。

 まあでも、そうやって紆余曲折を経ながら、ヨーロッパ合衆国になっていくのでしょう。

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