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年をとった人を大事にするという考え方、つまり“敬老原則”を捨てるべき - 「賢人論。」第14回(前編)出口治明氏

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適用拡大こそがわが国の社会保障の最大の課題

みんなの介護 でも、現実問題として中小零細企業がパートやアルバイトの人たちの社会保険料を支払うのは苦しいですね。

出口 それについては、ドイツを参考にするといいと思います。2003年に適用拡大を含め大胆な構造改革をしたドイツのシュレーダー元首相はその時に「人を雇うということは、その人の人生に責任を持つということ。社会保険料を払えない企業はそもそも人を雇う資格がない」と言い切ったのです。しかもシュレーダーは、パートやアルバイトの人は賃金が低いので、社会保険料の負担を均等ではなく、傾斜をつけて企業負担を増やしたのです。

みんなの介護 でも結局は、それで政権を失ったわけですよね。

出口 ですが、シュレーダーは大改革を断行した後で選挙を行ったので、その後のメルケル首相もその改革を引き継ぎ、今のドイツの強靭な経済システムが出来上がったのです。

みんなの介護 日本で同じような構造改革はできないのでしょうか?

出口 日本でも厚生労働省が公的年金保険の財政検証を行っています。1ヶ月に5.8万円以上の所得があるパートやアルバイトの人を全部厚生年金にうつすと1,200万人ほどが国民年金から厚生年金に移行することとなり、年金財政が劇的に改善することが明らかにされています。

解雇されても、月に5.8万円以上の収入があれば厚生年金のままでいられる。それくらいならパートやアルバイトでも稼ぐことはさほど難しくはないですよね。定年制の廃止と適用拡大をセットで行って、もし仕事ができない状況になったら辞めていただいたらいい。それは世界ではごく普通のことです。定年制がなければ解雇ができないというのは、それこそ経営陣の役割の放棄。怠慢です。年齢フリー原則にして、適用拡大を行う。これは高齢化の進む日本が今、考えなければならない最大の政策課題です。

みんなの介護 実際に政治の現場では年齢フリー原則、適用拡大は、どのように認識されているのでしょうか?選挙のことなどを考えると、実現は難しそうですが…。

出口 不人気でも社会の将来のために仕事をするのがstatesman(政治家)であり、自分の議員としての地位の延命だけを望むのがpolitician(政治屋)と言われています。シュレーダーのような見識をもった政治家が出てくることを望みたいと思います。

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