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米国の失業者を減らす方法

 アメリカの失業率は依然として9%台にあるのですが‥リーマンショックが起きた直後、アメリカは決して日本の轍を踏んではいけないと、ありとあらゆる手段を打ったことを覚えていますか? FRBのバーナンキ議長はことある度に日本を例にだし、デフレにだけは陥らせないと言ったものでした。そのせいもあってか、アメリカのGDPはリーマンショック以前の水準に回復しいるのです。

 その一方で、日本はどうでしょう? 日本の失業率は、アメリカの半分程度の4.7%であるのです。しかし、実質GDPの水準はと言えば、まだまだ過去のピーク時にまで回復していないのです。

 おもしろいでしょ? この現実。

 景気をGDPで判断するのであれば‥、そして、実際、景気はGDPの伸び率で判断されることが多いわけですが、そうであれば、アメリカの方が日本よりも景気は回復していることになるのですが、しかし、失業率はそうなってはいない、と。


 ところで、失業には幾つかのタイプに分けられることをご存知でしょうか?

 一つは、摩擦的失業。いくら人を求める職場があっても、例えば、そうした事実があることを失業者が知るまでに時間がかかったりするために発生する、どうしても避けられない失業です。但し、そうした失業は一時的なものです。

 次に挙げられるのは、循環的失業、或いは需要不足失業と言われるものです。景気が悪化し、労働者に対する需要が減ることによって発生する失業です。このタイプの失業は、タイムラグがあるとえは言え当然のことながら、景気が回復すれば自然に減少するものです。そして、多くの人は、普通、失業と言えばこのタイプの失業を連想するのです。

 失業には、もう一つのタイプがあります。それは、企業側の求める人材と、労働者側の探す職種が一致しないことから起きる失業です。例えば、企業側が求める人材が高度な技能を要するものであったり、あるいは労働条件が極めて厳しかたりする場合などには、いくら人を求める働き口があっても、なかなかそうして就職口がすぐに満たされることはないのです。これは、構造的失業を言われます。

 さて、アメリカに目を向けると、確かに失業率は高いものの、高度な技術者に対する求人は結構あると一部では言われているのです。いくら求人をかけても応募してくる人の水準が低い、と。

 アメリカの失業率は、9%台にあるわけですが、これを学歴別にみると、だいたい高校卒程度の人々の失業率が9%台であり、その一方で、大卒程度の人々は、その半分程度にとどまり、逆に中卒程度の人々は平均的な失業率の倍近い失業率であるといわれているのです。そういう事実からすれば、構造的失業が相当程度存在することが推測されるのです。

 そして、構造的失業の存在の程度が結構大きなものであれば、それなら、アメリカの失業率がなかなか改善しないことも説明がつくのです。

 ただ、リーマンショックの前までは、アメリカの失業率が4%台にあったことも事実であるのですから、そんなに短期間で社会の状況が変わるとも思われないのです。構造的失業の全体の失業に占める割合が、今のアメリカで少しずつ大きくなっていることが想像できても、やはりそれだけでは説明できない何かがある、と。

 では、何が原因で、景気が回復しても雇用の回復を遅らせているのでしょうか?

 多くの経済学者は、この点についてはっきりしないのです。そして、政治家もその理由が何かが分かっていない。或いは分かろうとはしない。そして、何とかして景気を回復することができないか、と気持ちだけ焦る。

 答えは簡単なことなのです。それは、製造業で働くアメリカの労働者の賃金が海外の労働者の賃金に比べ割高であるということなのです。工場を海外に移転することが難しい時代であれば別ですが、今や世界中どこにでも工場を移すことが可能ですし、或いは工場は移さなくても、ある行程だけ海外の労働者にアウトソーシングすることも可能です。で、そうやって米国の労働者と海外の労働者の賃金が比較され、米国の労働者の賃金が割高であるので、敬遠されているだけの話です。これが現実です。

 しかし、誰もそれを認めたくはないのです。何故ならば、それが本当だとそれば、アメリカの労働者の賃金を中国の労働者のレベルまで下げなければならないからです。或いは、それが嫌であれば、アメリカが得意とする高度な産業分野で勝負するしかない訳ですが、そうした分野で働く労働者には、先ほど言ったように高度な技能が求められ、こんどは構造的失業という問題が待っているということです。

 ここまで分かれば、処方箋が書けるでしょう。

 アメリカの労働者の賃金をもう少し柔軟なものにし、引き下げを認めやすくするか、或いは、アメリカの特に若者の教育や職業訓練に力を入れることなのです。

 我が国も、そういう事実を大いに参考にすべきです。幾ら高校の授業料を無償化したり、或いは大学
に予算を付けただけではだめなのです。学生の質を高めることが必要であるのです。小学生に英語を教えるのも結構ですが、大人ももう少し努力すべきです。

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