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不毛な原発論争

 海江田大臣が、時期が来たら責任を取ると言っています。で、多くの人が菅総理を責める訳です。今になって梯子を外すような真似をして‥と。

 本当に困ってしまう菅総理です。そんなことでは誰もついてこないでしょう。しかし、悲しいのは民主党の議員です。本当ならクーデターでも起きそうなところですが、もし今そんなことをすれば、被災地はどうなってもいいのかと、国民から非難されるのが必至だからです。それに、仮に国民から非難されることがなくても、次期総理を狙うためには、スムーズに総理の座を譲ってもらう方が得策であろう‥なんて考えている人もいるからです。

 それはそれとして‥確かに、言うことがころころ変わったり、何を考えているか分からない菅総理が批判されても仕方がない面はあるものの‥では、海江田大臣の今回の行動は全て支持できるものであるのかといえば‥??

 玄海原発の問題は、福岡に住む私にとっての問題でもある訳です。でも、どうして原発は、こんなことを言っては地元に人に失礼になるとは思いますが、お金のなさそうな辺ぴなところにばかりあるのでしょうね。決して福岡市には存在しない。東京にも存在しない。横浜に大阪にも存在しない。都会から離れた小さな町に‥

 そういうところは何かと都合がいいのですよね。土地は安いし、地元の人々も素朴だし‥、お金で方が付くことも多いし‥まあ、作ってしまったものをどうこう言うつもりはないのです。ですが、5重の壁で守られている筈の原発がメルトダウンを起こし、放射能が遠くまで飛び散ってしまった訳なのです。

 それが現実。そして、未だにこの先の見通しも立たない。そうであるにもかからず、海江田大臣が佐賀県にやってきて、県知事と会談した。私も含めて、多くの人が関心を持ったと訳です。でも、大臣のいうことは、安全だからの一点張りで、具体的な話は何もなし。私には、何故安全だと言うのか、その理由が未だに分からないのです。逆に、どこが危ないのかも分からない。しかし、福島原発がああなった以上、電力会社や経産省の言うことをそのまま信じるなんてこともできないのです。いずれにしても、大臣が東京から佐賀に来て安全だと言ってくれると、動かし易い、と。

 私には、県知事の態度もどうも解せなかった訳です。まあ、この知事常識的で、頭も聡明に見えるのです。しかし、この原発の件については先に結論ありきで、「原発を再稼働させない訳にはいかないだろう」というように見えてしまうのです。というのも、安全だ、安全でないという線引きをどこでするのかという絶対的な基準などないからです。だったら、後は自分が責任を取らないようにしなければ‥ということで、アリバイ工作をしたようにしか見えないのです。つまり、国が安全を保証してくれれば、決して県の責任になることはないから‥ということで、国に責任を転嫁しようとしたことです。

 で、電力会社と一蓮托生の経産省は、当然原発を再開したい訳ですから「安全だ」と大臣に言わせようとした訳です。しかし、ご承知のように総理が待ったをかけたのです。ストレステストで安全性を確認すべきではないのか、と。まあ、この段階になって、総理からそんなことを言われて、海江田大臣は面子は丸つぶれ。海江田大臣は安全だと言い、その一方で、総理は安全かどうかの判断はストレステストをしてみないと何とも言えないと言っているのです。

 では、果たして安全なのかどうか?答えは、安全と言えば安全、しかし、安全でないと言えば安全でない、これが正解です。つまり、どこまで行ってもも、どれだけテストをしても、どこの第三者がチェックをしても、絶対に安全だということはできないのです。つまり、「安全」の定義がはっきりしていないから、議論が進まない。従って、後は好き嫌いの問題になってしまう。

 本当は100%安全などということはないのです。そして、そのことは奇しくも今回の福島原発の事故で証明された訳なのです。実際に事故が起きた訳ですから、幾ら電力会社や政府が安全だといっても、それは100%の安全ではない、と。で、そのことは、経産省の人間は十分認識しているのです。100%安全などということはない。100%の安全を求めたら、どれだけお金をかけても限度がない。

 しかし、そうはいっても、国民に説明するときには必ず「安全」だ言うのです。さも100%安全であるかのように言わないと、国民が無用な心配をしてしまうからだ、と。本当は無用ではないのですが‥つまり、本来は99.99%の確率で安全ですとか、99.5%の確率で安全ですとか、97%の確率で安全ですと言う必要がある訳です。しかし、繰り返しになりますが、そんなことを正直に言えば、寝た子が起きる、と。

 まあ、電力会社と経産省はそんなことを考えている訳です。つまり、国民に正直にありのままのことを伝えても理解はできないのだし‥そして、自分たちはどうしても原発を推進したいのだから‥だから、放送局に偽装のメールを送らせるようなことも平気でできてしまう訳なのです。

 ですから、原発の安全性について議論をするというのであれば、何パーセントの確率で安全だとか、或いは、どこの国と比べて安全かとか、国内の原子力発電所のなかで何番目に安全だとか、そんな議論をしないと余り意味がないのです。

 いずれにしても、もし玄海発電所が安全だというのであれば、そこに本社機能の一部を移すとか、或いは会社の研修所や会議室をそこに併設するなどして、たびたび会社の役員がそこを訪れ寝泊まりしてくれるような担保を講じてくれれば、その方が数値で安全性を示されるよりももっと安心できるというものです。そうした措置を取ることのできる電力会社はないのでしょうか?

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