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20~30年の間には、日本の財政は間違いなく破綻する。今からでも備えられるんだから、安心してください - 「賢人論。」第20回(前編)鈴木寛氏

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年金が目減りしようとも、次世代を担う子どもたちと触れ合う方が高齢者にとって幸せじゃないか?

みんなの介護 確かに、“シルバー民主主義”という言葉を安易に使うのはミスリードの危険性がありますね。とはいえ、限られた財源の中で、どこに、どれだけの予算を割くのかという問題は、国政運営の中で避けては通れません。

鈴木 最初の話に戻りますが、国政の話で言えば、「すべての社会保障を守ることはできない」ということになります。そこで私は、「年金を切って、教育と医療に予算を回してください」と、ずっと訴えています。そしてその次に、介護を守ってください、と。

地方に住む高齢者にとっては、中央から若者が来た方が良いじゃないですか。「地方でもしっかりした教育を受けられますよ」「小児医療を含む急性期医療の体制がしっかりしていますよ」という社会をつくることができるならば、地方に住んだ方が絶対に良いわけですから。

みんなの介護 先生が「地方に住んだ方が絶対に良い」とおっしゃる、その理由について教えてください。

鈴木 いろいろありますが…例えば私の知り合いに、東日本大震災があった時に「福島の子どもを北海道に30泊くらい夏休みに避難させる」という活動をしていた友人がいて応援していたんですよ。そうしたら函館の近くの村で、子どもが来るからと言って、長年やめていた夏祭りを復活させて、おじいちゃんおばあちゃんたちがものすごく張り切ったそうなんですね。それだけじゃなくて、その時には医療費が激減したんだ、と。

まあ医療費の話は後づけで良いんですけど、結局おじいちゃんおばあちゃんの生き甲斐っていうのは、次世代を担う子どもたちと触れ合うことであって、通帳に貯まっていく年金が目減りしようとも、そっちの方が幸せなんじゃないか?ということです。

みんなの介護 “幸せ”って何だったっけ?という、深い話になりそうですね。

鈴木 ユーティリタリアン、日本語では功利主義という考えがあります。つまり、個々人の損得の総和を最大化するのを良しとする考え方なんですが、この考え方に立つと、シルバー世代は自分たちの年金が減ることについてはノー、ということになります。対して、リベラリズムという考え方もあります。

リベラリズムでは、一番かわいそうな人が最もハッピーになる不平等ならばOKだ、という考え方をします。そうすると、この社会にとって一番かわいそうな人たちは子どもたちなんだから、子どもたちにとってベストな、それは世代間で見ると不平等かもしれないけれどOKだよね、というのがリベラリズムの立場です。

世の中には、自分の損得じゃなくて、まさに社会の公正としての“幸せ”が実現されることを良しとする人たちもいるわけで。これがまさに公教育というもので、つまり教育がしっかりしてくれば、自分は損しても、公がハッピーになればいいと。

あるいは、コミュニタリアンという考え方もあります。これは、広くは日本というコミュニティが、また自分たちが住む地域のコミュニティが、あるいはテーマをもったコミュニティが存続することが、まさに共通善なんだ、という考え方。そのためにいろいろな投資、特に次世代への投資を進めるのが良いことだ、と。そうした認識や政治哲学を教育によって深めることができれば、シルバー世代の中にそういう考えが浸透すれば、いわゆる“シルバー民主主義”というのも違った捉え方になっていくはずです。だからこそ生涯教育が大事なんだと、私は主張しているんです。

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