- 2016年09月06日 13:15
現代社会は危機意識が薄いし、政治家や官僚の頭が悪い。だからパブリックマインドが育っていかない - 「賢人論。」第21回(中編)宮台真司氏
1/3
前編「自分の所属する集団さえ良ければそれでいい。そう考えるのが日本人であり、政治家や行政官僚も同じ」として、日本社会がパブリック・マインド(=社会に貢献しようとする気持ち)を持てない原因は教育にあると語った、社会学者・宮台真司氏。中編となる今回は、テーマはさらに壮大に。荒野とも言える現代社会を生き抜くために、私たちが考えるべきこととは一体?
社会という荒野を、仲間と、家族と、大事な人たちと生きるための戦略を考えるしかない
みんなの介護 前編「自分の所属する集団さえ良ければそれでいい。そう考えるのが日本人であり、政治家や行政官僚も同じ」を振り返ると、日本社会の“先細り感”を否応なく感じさせられます。
宮台 いやいや、それでいいんですよ。先細りになるというのは、これまでのいろんな民族も体験してきたことですし。滅びてきたわけでもあるけれど、ダメなものは滅びるという教訓ですよね。そうした教訓を残していくことが大切で。
だから今、僕たちがやるべきことは、どうして先細りになるのかを考えること。これは日本だけに限った話じゃなくて、先進国の多くはそう。その理由を書きとめておいて、正しい巻き直しというか、リバウンドして、また再上昇するときの知恵として述べ伝えていくというのが大事じゃないでしょうか。
みんなの介護 ダメなら滅びる…確かに自然の摂理なのでしょうが、その渦中に生きているかと思うと、なんだか悲観してしまいます。
宮台 人類というレベルで考えれば、何を悲観しなければいけないのかまったくわからない。例えば今、日本社会は高齢社会がどうの、シルバー民主主義がどうの、世代間格差がどうのって話をしているけれども、僕が考えていることより全然小さい話で。
みんなの介護 「人類」と比べたら、それは確かに小さいですが。
宮台 地球規模で考えたときに、人類社会が全体としてうまくいっていたことってないんですよ。例えばですが、先進国で財政問題が深刻になった最大のきっかけは、特に97年以降のグローバル化を背景にした中間層の分解と資本流出です。統計的に言えばいろいろ問題はあったとはいえ、それによって貧困国の貧困率は圧倒的に下がったんですよね。世界全体としてはやっぱり豊かになったわけです。
昔で言うところの途上国…途上国というのは名ばかりで、実際には低開発国ですけれども、そうした国はごくわずかになりました。それはグローバル化のおかげであって、先進各国の内部で中間層が分解したこと、あるいは税収が下がったことに起因します。税金を取ろうとすると資本が逃げるからですね。中間層の分解というのは、階層分解そのものでもあるから、そこから格差がどんどん広がって…というのは、過去にどこの国も体験したことであって、これは避けられないことなんですよ。
みんなの介護 そうした社会的な危機を避けられないのであれば、せめて備えとなるようなことを考えておきたいものです。
宮台 うまくいくものは後世に残るように、長いスパンで考えればいいんですが、それ以外でみなさんが考えるべきことは、自分にとって大切な人間…つまり家族や仲間が生き残れるようにするということですよね。社会的なマクロをどうするか?なんて死ぬ気で考えても、どうにもならない面がありますからね。基本的には、社会という荒野を生きるしかない。社会という荒野を、仲間と、家族と、大事な人たちと生きるための戦略を考えるしかないわけですね。



