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菅直人が逃げ出す東電に事故処理を継続させた?

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最近になって、原発事故後5日目の3月15日の時点で東電社長が事故現場からの全面撤退を申し出てきた、というニュースが流れました。菅直人や枝野(当時)官房長官の証言を元にして毎日新聞NHKが報じています。このネタはTBSでもドキュメントで放送されたらしく、東電がこれについてプレスリリースで反論しています。

9月11日放送 TBS「震災報道スペシャル 原発攻防180日間の真実」における報道について|東京電力

菅直人が朝から東電本社に殴り込みをかけて「(いま事故現場から)撤退したら東電は必ず潰れる」などと騒いだと報道された、あの事件ですね。

私はあのニュースを最初に目にしたとき、「東電が原発事業から撤退してはならない。そのためにも事故を早期に収束させるべきだ」と言ってるのかと思いました。しかしよくよく読んでみると、菅直人が「東電は事故現場を放棄して逃げ出すらしい」と認識していることに気づいて驚いたものです。

しかし巷間言われているように、いかに東電が傲慢で愚かな会社だとしても、まさかあの事故現場から撤収するなんてどう考えてもおかしい。

東電が向き合っていた事態は原発事故だけではありません。被災により大量に失われた火力発電の能力を復旧させ、当座の電力不足を補うための「計画停電」を策定し実行に移し、さらに運転中の原発を多数抱えている東電が、どうして全国の耳目を集めている(というか最大のニュースとなっている)福島第一の現場を放棄するのでしょうか?そんなことをすれば、他の原発を維持する能力がないことを自ら証明するようなものです。

電力会社が占めている「おいしい地位」の源泉たる地域独占体制を守りたいのであれば、事故った原発を放り出すなんてことは絶対に考えないはずです。もし「地域独占の経営体制を捨ててまでも原発作業員の命を守る」というヒューマニスティックあふれる経営判断が清水社長にできたとしたら、とんでもない「大物社長」でしょう。(しかし実際は都合が悪くなると入院してしまう小社長だったようです)

以上のような認識から、私は菅直人の「勘違い」を鼻で笑っていました。

ところが、冒頭述べたように、菅と枝野はこの期に及んで「東電全面撤退説」を言い出しました。そしてツイッター上でも「菅直人の功績」としてあの事件を取り上げるのが目立っていました。

菅直人の回想では、東電の事故現場放棄を防ぐために菅直人が東電本社に乗り込み、官邸と東電をジョイントする対策本部が設立されたことになっています。 しかし、本当にそんなことが必要だったのでしょうか?

原子力災害対策特別措置法には、以下の記述があります。(以下太字は筆者)
第三条  原子力事業者は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する
ここでは「原子力事業者」が東京電力で、事故の拡大防止と復旧の措置を講ずる責務は法に定められているのです。また、以下の記述もあります。
第十四条  原子力事業者は、他の原子力事業者の原子力事業所に係る緊急事態応急対策が必要である場合には、原子力防災要員の派遣、原子力防災資機材の貸与その他当該緊急事態応急対策の実施に必要な協力をするよう努めなければならない。
努力規定ではありますが、他の事業者が起こした事故についても協力することとなっているのです。ましてや、自社の操業している原発内での事故対応を放棄するなんてありえない話です。もしそんなことをすれば、東電の経営陣は法に基づいて処罰されるでしょうし、そうでなくても国会の証人喚問は免れず、社会的に抹殺されるのではないでしょうか。

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