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空洞化を恐れるより足元の改革を

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■幼児教育の充実

アジア地域においては日本は十分に国民所得が高く、基礎的インフラも高度に整備されています。小峰氏も指摘しているように、日本は高付加価値の産業に特化するのが自然の流れです。となると、当然の帰結として高い教育レベルが必要になります。

高校・大学教育にも様々な問題があると思っています。4年制大学の乱立や、新設される意味不明の学部・学科名を見るだけでも、この国は一体どうしちゃったんだろうと思わされます。が、ここでは幼児教育の重要性に目を向けてみます。

脳科学の分野ではシングルエイジ、とりわけ6才くらいまでの脳の発育はその人の生涯における能力をかなりの部分で決定づけると言われているようです。幼児に楽器や語学の教師をつけるというような旧来型の英才教育ではなく、乳幼児期の母親との関わり方とか躾の大事さなどが見直されています。

保育の充実はもとより、乳幼児を持つ親への支援と、子供の脳の発育に関わる啓蒙をもっとすべきではないでしょうか。

脳科学の知見を利用した乳幼児教育は、子供を抱えて苦労している母親へのケアと同時進行でできると思います。国民の教育は公共財ですから、自治体が事業を始めてもいいし、教育バウチャーを配って民間活力を活用する手法もありではないかと思います。

論点が少しずれますが、保育の充実による女性の就労機会の増加は出産・育児のハードルを下げて少子化対策にもなるはずだし、小峰氏が指摘する労働力不足への対策にもなります。規制緩和を通じて保育産業が活性化すれば、子育てを経験した母親に就労機会も提供しますから、一石三鳥になるかもしれません。

■まだある日本の優位性

長くなるので簡単に思いつく規制産業ーーしかも国内に残らざるをえないものーーをあげましたが、まだまだいろんな分野で規制改革は必要だろうと思います。政治の安定が条件(ここがいま一番イタイところ)ではありますが、どの分野から手をつけるかではなく、どの分野でも同時並行的にできるだろうと思います。是非、各分野から声を上げていってもらいたい。

ただ、悲観するばかりでもないと私は思っています。

日本の文化は多様性があり、犯罪は少なくインフラは整備されています。水道・電気・交通網・輸送サービス・決済システム、どれをとっても世界に引けを取らないものです。これは外国人にとって魅力的だと思います。また忍耐強く親切な国民性を生かせば、海外からの観光や投資も促進できるでしょう。医療や介護の技術が良ければ海外のお金持ちが日本に滞在する機会も増やせるかもしれません。

こうした優位性を宣伝することも、地道な努力ですが忘れてはいけないだろうと思います。そして優位性が発揮できる今のうちが、社会のあり方や規制の見直しをし、成長の伸び代を確保する最後のチャンスなのではないでしょうか。

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