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日銀の総括的な検証のヒント

 日銀は9月20、21日の金融政策決定会合で「総括的な検証」を公表する。市場ではこの総括的な検証の内容と、検証した結果として今後追加緩和を決定するにあたってどのような手段を取りうるのかについて注目している。

 企画を中心とした執行部による「総括的な検証」は現在進められているところとみられる。まだまとまっているとは思われないものの、その内容のヒントが27日のジャクソンホールにおける黒田総裁の講演内容から垣間見られるかもしれない。
 27日の黒田総裁の講演のタイトルは「「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」による予想物価上昇率のリアンカリング」である。つまり、米国では長期的なインフレ予想が2%近傍にしっかりとアンカーされているのに対し、日本ではなお十分にアンカーされていないのはどうしてなのかといったところが主題となっている。これぞまさに「総括的な検証」の中心課題でもある。なぜ日銀の物価目標が達成できないのかという理由についての分析こそが検証のポイントとなる。

 これについての説明は下記の一文である。
 「日本では、実際のインフレ率に対する原油価格の下落の影響が予想インフレ率の弱めの動きを通じて増幅されてしまったと考えられます。」
 これはあまりに分析不足であろう。こんなことはWTIの価格変化とCPIのグラフを重ねれば一目瞭然で誰でもわかることである。それでも大胆な緩和を行えば、原油価格の呪縛からも物価が逃れられるとして行ったのが異次元緩和ではなかったのか。もちろん「総括的な検証」ではこのような解答で済ませることは止めてほしい。
 「名目の国債金利については、マイナス金利政策の導入までは、さほど大きく低下はしなかったという見方もできます。」
 たぶんマイナス金利政策の効果としてはこの点が強調されると考えられる。国債利回りのマイナス化については、市場参加者としてはいくつかの期間の壁が存在していた。ひとつは債券先物のチーペストに該当する期間7年の利回り、そして日本の長期金利のベンチマークとなっている期間10年の利回り、さらにVARショックで注目された期間20年の利回りである。ここまでのマイナス化については需給バランスというよりも市場参加者の心理面の壁が大きかったが、それを今年1月に決定したマイナス金利政策で取り外されたことは確かである。ただし、そのマイナス化は20年がワンタッチしたところで止まって反転した。

 この長期金利のマイナス化が果たしてどのような効果をもたらすのか。黒田総裁の指摘は社債発行等に限っており、経済全般にポジティブな効果があったとの分析にはなっておらず、金融機関の収益へのマイナスの影響等に関してはあまり説明がなされていない。
 ただし、注意すべきは今回のジャクソンホールのテーマが「将来のための強靱な金融政策の枠組みの設計」となっており、欧州の一部の中銀と日銀意外にはあまり評判の良くなかったマイナス金利についての効果を強調する必要があった面もあったとみられる。このためこれが一概に総括に直接関係するかどうかもわからない。しかし、検証においては当然、効果を強調してくることが予想され、そこには長期金利の低下による恩恵といったものが強調される可能性もある。

 いずれにしても「総括的な検証」の概要がはっきりするまでにはまだ時間も掛かるものとみられる。9月5日には、きさらぎ会での黒田総裁の講演も予定されている。この内容あたりからもう少し概要が見えてくるかもしれない。

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