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健康保険組合の役割の拡大-公平性の確保と、連帯意識の醸成を、どう両立させるか? - 篠原 拓也

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■要旨

日本の現役世代向けの公的医療保険は、企業の従業員が加入する健康保険組合や協会けんぽ等の被用者保険と、自営業者等が加入する市町村国保等の国民健康保険の2つに分かれている。被用者保険は、7,000万人以上に医療保障を提供しており、日本の医療制度の根幹をなしている。近年、高齢化が進み、財政面の厳しさが増している。また、特定健康診査や特定保健指導の実施をはじめ、様々な予防医療への取組みも進められている。

本稿では、被用者保険の現状を概観して、その役割の拡大に関する論点を見ていくこととしたい。

■目次

1――はじめに
2――被用者保険の現状
  1|加入者数は減少しつつも7,000万人以上を維持しているが、組合数は年々減少
  2|保険財政は厳しい状態が続いており、保険料率が引き上げられてきている
3――被用者保険の保険者の役割
  1|被用者保険には、事業主や被保険者に対する対内的機能と、
    医療機関等に対する対外的機能がある
  2|対内的機能の実施や、予防医療等の新規事業を進めるために、
    実務の体制整備が重要
  3|被用者保険の事務体制は脆弱で改善の余地がある
4――被用者保険における公平性の確保と、連帯意識の醸成
  1|被保険者と保険者に相互に選択をさせないことで、リスク選別の発生を防止している
  2|保険料の事業主負担を通じて、事業主の健康保険事業への関与を求め、
    医療費の増加を抑止している
  3|日本の被用者保険では、職域連帯が実現しており、
    適度な公平性との両立が図られている
5――おわりに (私見)

1――はじめに

1――はじめに

日本の現役世代向けの公的医療保険は、企業の従業員が加入する健康保険組合や協会けんぽ等の被用者保険と、自営業者等が加入する市町村国保等の国民健康保険の2つに分かれている。このうち、被用者保険は、1927年の健康保険法施行によって、職域をもとに制度化されたもので、国民健康保険よりも起源が古い1。被用者保険は、被保険者と被扶養者を合わせて、7,000万人以上に、医療保障を提供しており、日本の医療制度の根幹をなしている。近年、高齢化が進み、高齢者医療への支援金・納付金が増加しており、財政面の厳しさが増している。一方、健康寿命の延伸に向けて、特定健康診査や特定保健指導の実施をはじめ、様々な予防医療への取組みも進められている。

本稿では、被用者保険の現状を概観して、その役割の拡大に関する論点を見ていくこととしたい。2

1 国民健康保険法は1938年に施行された。
2 本稿は、「日本の医療 - 制度と政策」島崎謙治(東京大学出版会, 2011年)を参考にしている。


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