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金融政策は限界なのか?

住宅ローンは現在、変動より固定金利のほうが安い状態が起きています。かつて、変動金利は固定より金利が魅力的であるものの目先の金利動向では高くなる可能性が高いといわれていたのですが、現在は固定のほうが安いという常識を覆す事態が出てきています。

おまけにその固定金利も今や0.3%台に突入し(今日付けで0.4%台に上がったようです)、借り換えをしたい顧客の予約で銀行窓口は一杯だという話も聞こえてきます。こうなると金利の概念を崩してしまったといってもよいでしょう。そんな中、黒田総裁はジャクソンホールでの講演で「まだまだその緩和余地はある」と述べているようですが、手法の話と使える手段は違うと思いますし、緩和することが総裁の目的とする2%にインフレになるとは誰も信じていないように思えます。

一言でいえばグローバル化と各国の金融政策の力比べといった感じではないでしょうか?日欧がどれだけ安いお金を提供してもそこでお金を必要とする仕組みが生まれ需給バランスが大きく反転しない限りインフレにはなりません。

例えば初めて住宅を購入しようとする若い夫婦がいたとします。その夫婦が限りなく安い金利の長期固定ローンをゲットしたとしても物価が上がらない理由は何でしょうか?

まず、このような若夫婦がたくさんいて住宅を作っても作っても足りない状態ならインフレになるかもしれません。しかし、国交省は中古住宅の取引活性化や空き家対策を同時に行っています。つまり、住宅会社はどんどん住宅を作るようなプラスの効果はでません。また給与が上がっているわけではないし、住宅取得以外に使わなくてはいけない支出先も増えてきています。

二つ目に資源価格の高騰で住宅価格が上がり、先行きも高くなると見込まれる場合は多くの人が先を争って住宅を買うのでインフレ効果が期待できます。が、今は資源価格は安い上に円高です。つまり、輸入物価は沈静化し、住宅価格が上がりやすい理由は見当たりません。

これは金利を下げれば景気が刺激されるという基本モデルがワークしていないのではないでしょうか?

かつてカナダで金利がもうすぐ上がりそうだという声が出て、駆け込み需要が盛り上がったことがあります。金利はいつか上がると信じられていたからこそ、金利が安いうちにローンをコミットするという消費者心理が成り立ちます。ところが黒田総裁はもっと緩和できると公言しているため、「どうせ金利はもっと下がるのだろう、買い急ぐことはない」という心理が生まれてしまっていませんか?

アメリカで気になることがあります。日経によると学生ローンと自動車ローンの不良債権率が急上昇しているというのです。金利が安いと借り手のクオリティはどんどん下がります。貸し手は想定される不良債権率で管理していますが、仮にアメリカの金利が今後1年で0.5%程度上がるとこの不良率は加速度を増すはずです。

つまり、イエレン議長もそのジレンマに陥っている可能性があります。

金融政策は限界なのか、という意味はそこにあります。本来ならば景気回復具合はかなり良いと考えられるアメリカが昨年12月にようやく利上げしたのにその後8か月間もフリーズしたままであるこの事実は今一度冷静になって考えるべきです。そして私が怖いと思うのは欧州なり中国なりで何かトラブルが生じて世界経済に再び大きなクラックが入った際にいったいどのような対策をとるというのでしょうか?

世界では明らかにお金がだぶついています。そのお金は行く場がなくなってきています。今までは世界の政治的に安定した国の不動産に流入していましたが本質論で行けばバブルを作り上げました。日米欧の中央銀行が行ってきた政策は明らかに泡まみれの世界を作り上げこんな価格はない、という不動産価格が形成されています。それはとりもなおさずインフレではなく海外からみてお金の価値が下がったともいえないでしょうか?

かつて1億円の家はすごいといわれました。キムタクのハワイの家は2億円らしいですね。すごいように聞こえますが、大したことはないでしょう。今や2億の家は普通だという感覚が世界では当たり前になってしまったこの世の中の先行きは全く想像できません。

私が金(ゴールド)に多少投資するのは株でも不動産でもない第三のヘッジ先であり、通貨価値がどうなってもゴールドだけは世界共通の価値観念のもと、その輝きが一定するからであります。

我々はもしかすると非常に厄介な時代に入り込んでしまった気がしてなりません。

では今日はこのぐらいで。

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