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裁判の中止

大震災が起きると、民事裁判はどうなるか。基本的なことがらだが、確認しておこう。

民事訴訟法には以下のような規定がある。

(裁判所の職務執行不能による中止)
第百三十条  天災その他の事由によって裁判所が職務を行うことができないときは、訴訟手続は、その事由が消滅するまで中止する。
(当事者の故障による中止)
第百三十一条  当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは、裁判所は、決定で、その中止を命ずることができる。
2  裁判所は、前項の決定を取り消すことができる。
(中断及び中止の効果)
第百三十二条  判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる。
2  訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
東北地方で裁判所が被災し、執務が困難となった場合には、130条が適用され、当然に中止となる。

また、裁判所自体は被災していないが、「不定期間の故障(=差し支え)」があって当事者が訴訟手続をできなくなったという場合は、裁判所の決定により中止となる。

裁判所が中止を決定してくれなかったけれども当事者が事実上期日に来れないなどの障害が生じた場合はどうか?

この場合は下記のような条文がある。
(期日の指定及び変更)
第九十三条
3  口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4  前項の規定にかかわらず、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更は、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。


事前に変更されるほか、期日に当事者が来られなかったため事実上開かれなかった場合は「延期」とされる。そして裁判所としては当事者がやむを得ない事由で来られなかったかどうかが分からず、調書判決などしてしまったという場合は、最後の手段として控訴すればよい。

地震前に判決が下され送達されて、しかし控訴する前に通信交通が途絶したような場合は、「追完」がある。
(訴訟行為の追完)
第九十七条  当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする。
2  前項の期間については、前条第一項本文の規定は、適用しない。


そういうわけで、民事訴訟法には天災への備えが結構あるのである。

なお、最高裁判所サイトが、今回の地震に対するプレスリリースを出しているので、上記各規定の適用によるものか、事実上の取り扱いなのか、はっきりしないが、実例として引用しておこう。
プレスリリース
平成23年3月13日 最高裁広報課
平成23年東北地方太平洋沖地震による甚大な被害により,東北3県(岩手,宮城,福島)の全裁判所(高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所、簡易裁判所)において 3月14日から18日までの5日間に予定されていた裁判員事件を含むすべての裁判の期日は行われません。

水戸地方・家庭裁判所本庁(水戸簡裁を含む。)及び日立支部(日立簡裁を含む。)において3月14日から16日までの3日間に予定されていた裁判員事件を含むすべての裁判の期日は行われません。
なお,新たな期日は,後日,各裁判所から連絡されます。

裁判が行われる場合であっても,当事者・代理人が,被災により出頭ができない場合には,個別の事情に応じて,出頭できないことが不利益とならないように各裁判所で配慮されることになります。

今後の裁判の期日の延期は,各裁判所で決定され次第,速やかにお知らせします。

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