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今さらの決着。

今から遡ること3年前。

浜岡原発5号機のタービン事故をめぐり、中部電力がタービン製造元の日立製作所を相手取って訴訟を提起する、という一大事があった。

このブログでもコメントしたとおり、いかに瑕疵担保条項があるとはいっても、真正面から賠償請求するのはどうかな・・・という思いを抱かざるを得ない事件だっただけに*1、その後の動向もしばらくは気にしていたのだが、いつしか日は流れ、自分の記憶からもすっぽり抜け落ちてしまっていた・・・

そんなときに出た一本のプレスリリース*2
2011年10月6日

中部電力株式会社

 題記訴訟につきましては、東京地方裁判所から平成23年9月20日、和解条項案が提示されましたが、本日、当社および相手方株式会社日立製作所ともに、これを受諾することを裁判所に回答いたしました。これにより、当該和解条項を内容とする和解が成立し、訴訟は終了いたしました。

1 和解条項(要旨)

(1)日立製作所は、当社に対し、本件の和解金として、金90億円の支払義務があることを認める。

(2)当社は、その余の請求を放棄する。

(3)当社および日立製作所は、本件に関し、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

2 和解条項案受諾の考え方

 当社としては、裁判所から強い和解勧告を受けたことを踏まえ、以下の考え方から、和解条項案を受諾することといたしました。

・日立製作所は、当社の重要なビジネス・パートナーであり、早期に係争を終了させて、関係を正常化することが当社の事業遂行上有意義であること。

・今回の和解勧告に応じず訴訟を継続した場合、審理の長期化は必至であり、またこれに要するコストの増大等を招くこと。

・和解金額は、裁判所が提示したものであること。
一見すると争点自体は至ってシンプルに整理できそうな事件(瑕疵の有無と損害論くらい)だし、プレスリリース添付の参考資料*3にまとめられた当事者の主張等を見ても、抱く感想は変わらない。

にもかかわらず、提訴から3年も引きずっていた、というのは、それだけ瑕疵の有無の立証が技術的に難しかったのか、それとも裁判所が和解にこだわって延々と和解期日を入れ続けていたのか・・・。

3年の歳月を経ての和解。

418億円+遅延損害金、という当初の請求額と比べてしまうと若干見劣りするが、メーカーが全面的に責任を争っていた事件で90億円の支払義務を認めさせた、というのだから、客観的にみれば、訴えた中部電力にとっても全く成果のない訴訟ということにはならないはず。

だが、悪夢の3・11を経てすっかり時代が変わってしまった今、5号機どころか全ての号機の稼働停止を余儀なくされてしまっている、という非常時下に、こんな昔の事件に決着がついても空しいだけ・・・という関係者は決して少なくないはずで、「日立製作所は、当社の重要なビジネス・パートナーであり」というプレスリリースの一文からも、そんな気配が少なからず透けて見える。

和解の内容や経緯について一通りの説明を行っている中部電力に対し、支払義務を負わされた日立製作所の側では、単に「和解が成立した」ということ以上の事実をHP等で掲載していないのであるが*4、こちらの担当者の心の内も伺ってみたいところである。


*1http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080910/1221174813
*2http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3169075_6926.html
*3http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/__icsFiles/afieldfile/2011/10/06/c.pdf
*4http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2011/10/1006a.html

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