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アングル:物価3年4カ月ぶり下落幅、日銀目標とかい離 総括検証に期待も

[東京 26日 ロイター] - 円高やエネルギー価格の下落を受け、物価の下落幅が一段と拡大している。7月の全国消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比0.5%低下と、3年4カ月ぶりのマイナス幅となった。日銀の強気シナリオとのかい離が時間の経過とともに広がっており、物価目標達成が一段と遠のくなか、日銀が9月の「総括的検証」で新たな政策の方向性を示せるのか注目が集まっている。

<下落幅さらに拡大、コアコアもマイナスの可能性>

「年初来の円高と景気停滞の影響で、今後CPIは一段と鈍化する可能性が高いだろう」(第一生命経済研究所)──民間エコノミストからは物価下落幅は年内さらに拡大していく可能性があるとの指摘がでている。「いったんマイナス0.7%程度まで落ち込む」(バークレイズ証券)との見方もある。

7月のコアCPIにもそれが表れている。食料品は円高による原材料価格の下落が影響、昨年値上げが相次いだ菓子類は上昇率が鈍化した。テレビや洗濯機が下落した背景には円高に伴う輸入品との競合があるとみられる。宿泊料はインバウンド需要の鈍化で上昇率が低下したとみられ、外国パック旅行も円高の影響で伸び悩んだ。個人消費は夏場の天候要因が寄与してやや持ち直しているとはいえ、4─6月の消費総合指数は前期比横ばいにとどまり、回復の姿は見えていない。実需の弱さを背景に、値下げの動きも散見される。

コアCPI全体では5カ月連続のマイナスで、マイナス幅は6月の0.4%から拡大。ロイターが集計した民間エコノミストの予測中央値(0.4%低下)も下回った。

より物価の基調的な動きを示すとされるコアコアCPI(除く食料・エネルギー)は0.3%の上昇に留まり、プラス幅が6月の0.5%から縮小した。コアコアCPIは昨年11月に0.9%までプラス幅を拡大した後は一環して縮小しており、「今後マイナスに転じる可能性もある」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方も出ている。

<政府も物価「横ばい」に修正>

政府も8月の月例経済報告で消費者物価について「上昇」との表現をはずした。「横ばい」に置き換えざるをえなかった背景には、円高があるとみている。サービス価格は人件費上昇で底堅く推移している中で、モノの値段は円高に伴う輸入品価格との競合が耐久財などの価格下落を招いているとの分析だ。

一方、日銀のシナリオは強気だ。コアCPIが2016年度は0.1%に留まるものの、17年度は1.7%に跳ねるとの見通しを掲げている。政府による経済対策の効果も含め、潜在成長率を上回る経済成長が続くことで需給ギャップが改善し、エネルギー価格下落の影響のはく落とともに、実際の物価が上昇に転じれば、人々の物価観も上昇に向かうとの見立てを堅持する。7月のCPIの結果についても、大きな驚きはない、との見方が中心だ。

ただ、日銀内には懸念の声も一部に浮上している。7月CPIには物価の基調の弱さが示されているとの声も一部にはある。円高を背景に物価上昇ペースの鈍化が続く中で、アンケートなどを通じて集計している人々の物価観は、2014年以降緩やかな下落基調にある。

<総括検証、追加緩和の見方多く>

日銀は9月20日─21日に開かれる次の金融政策決定会合で過去3年半の政策を総括する予定。安倍政権が大規模な経済対策を打ち出しただけに、政府部内には、日銀がデフレ脱却に効果的な方策を打ち出すことを期待する声もある。

市場関係者の間では「物価の現状やデフレ脱却を目指すアベノミクスへの協力という観点からすれば、緩和の縮小につながることはありえず、マイナス金利政策の強化に向けた地ならしになる可能性がある」(農中総合研究所)などの思惑が駆け巡っている。

ロイターが今月、エコノミストを対象に行った調査では、日銀が総括的な検証を踏まえ、追加緩和を決定するとの見方が過半数となった。

さらなる量的な緩和拡大に踏み切るのか、目先を変えた緩和策を打ち出すのか、「総括的な検証」への注目は一段と高まっている。

(竹本能文、中川泉 編集:石田仁志)

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