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「みんなで一緒に食べる喜び」を感じたい アレルギーのある子と親のための夏休みキャンプ体験記

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家族みんなで同じものが食べたい

キャンプで作られたカレー
近年、核家族化や共働き家庭の増加にともない、ひとりでご飯を食べる「孤食」や、家族がそれぞれ別々のものを好き勝手に食べる「個食」など、家族の食卓は変化している。食育の必要性が叫ばれる一方で、アレルギーのある子どもたちへの対応はほとんど「家庭任せ」になっているのが現状だ。ある保護者はこう語る。

「家族みんなで同じものが食べたい。兄弟で1人だけ違うものを食べさせるより、同じ料理を囲みたいんです。これは心の問題だと思う」

だから、母親たちは一生懸命工夫して、手作りをする。市販のカレールウには小麦など多くのアレルゲンが入っているため、カレー粉から手作りしているという家庭もあった。食品スーパーでは化学調味料無添加のものを選びたいが、なかなか見つからない。

エスビー食品社員との意見交換会。保護者間で悩みの共有も
そんな苦労があるからか、「2泊3日、なんにも料理をしなくてよいので、本当に開放感がある」と語る保護者は多かった。皆、うんうんとうなずいている。一般的な家庭でも毎日の料理は大変なのに、卵や乳製品アレルギー、魚介類アレルギーなどのある子どものために献立を考える母親の苦労は計り知れない。あれもだめ、これもだめだけど、どうにかして美味しいものを家族みんなで食べられるようにしたい。ワークショップの後半では、エスビー食品株式会社の社員も交えて、アレルギーのある子をもつ家庭のためにどんな商品があるとよいか、意見を出しあった。

議論は活発で、あっという間に2時間がたつ。荷物を移動して、いよいよ夕食だ。

友だち、兄弟と一緒のご飯が食べられる

撮影:北条かや

「いただきまーす!」まずは子どもたちから、カレーにピクルス、野菜の煮物、わかめスープなどが配膳される。ピクルスはアレルゲンの有無によって2種類作られるなど、配慮が行き届いている。ふだん給食の時間に1人でお弁当を食べ、「私は普通じゃない」と母親に打ち明けたあの子も、きっと「みんな一緒」を楽しんだはずだ。

18時からは夕食の時間

筆者も少しだけ、夕食をいただいた。カレーは辛すぎず、野菜のうまみが効いていてコクがある。ピクルスもよく味が染みていて美味しい。何より、周りの子どもたちが皆笑顔で、お腹いっぱい食べている様子をみると幸せな気持ちになった。保護者たちも笑顔で、楽しそう。ふだん子どもの食を管理するプレッシャーから、つかの間解き放たれているようだ。

ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の必要性とアレルギー問題

日本財団の森常務理事は、笑顔で走り回る子どもたちを眺めながらこう語る。

「今、子どもたちの10%にアレルギーがあると言われています。社会的な差別にもつながっている。本来はメディア、学校、医療現場、企業それぞれが対応すべきなのですが、現状では学校と家庭だけに任されている」

森常務理事はこのキャンプを通じて、それぞれの家族が「痛み」と「喜び」を共有してくれたら、と考えている。

「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の概念からすれば、アレルギーのある子どもたちを社会全体で包み込んでいくための啓蒙活動がもっと必要なんです」

日本社会では、「みんな一緒が当たり前、違うことは許されない」風潮が根強い。「兄弟で、友だちで、みんな一緒の食事を囲みたい」と訴える保護者たちから、こうした「みんな一緒」の呪縛を感じたのも事実だ。しかしその願いは、単なる同調圧力とはまた違ったものであるとも思う。

家族で同じものを食べたいという、それは切なる思いなのだ。保護者たちのプライベートな領域における願いと、社会における同調圧力は、どちらも「みんな一緒」がいいという点では同じかもしれないが、決定的な違いがある。ある特定の他者を思いやっているかどうか、という違いだ。その思いを、社会は支える必要がある。マイノリティであるわが子を思い、「一緒なものを食べさせてあげたい」と親がいうとき、ソーシャル・インクルージョンの概念がいかに、公的領域(社会)と私的領域(家庭の食卓)をつなぐ重要な概念かが分かるのである。

[ PR企画 / 日本財団 ]

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