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戦争と平和との経済損得

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(1)戦争は必要悪か?

 予てから「世紀の更新期には、人心を改める区切りとしての心理的動機などから、過去の惰性的思考や行動態様が見直され、旧悪を反省し、改めるべきことは改善しようとするための大清算と、旧世紀の世界を主導し支配してきたイデオロギーや手法、国家、産業や企業などの主役が一斉に交代する時期を迎える」と予見し主張してきたが、まさに現実にその通りの状態となり、近年ではこの変容が、20世紀は「戦乱と激動、地球自然環境破壊による物質文化進歩の世紀」であったのが、21世紀には「国家主体から個人主体、財物的豊かさの追求から自然環境との調和的社会進歩と安定、精神文明の進化重視の世紀とすべきである」と言われるようになってきた。

 その過渡期として当面は、極端な歪の是正、例えば国力や貧富、地域的経済明暗、人口動態の格差、領土・領海問題、無差別テロ対策などの修正のため部分的な動乱が続き、国家も企業も、国際的経済ブロックや政治・軍事的勢力図も、統合による巨大化から、再び分裂化、再編成への途を辿り、その結果地球世界の状況は、おそらく2025~2030年頃から大きく様変わりしてくるようになろう。

 目下はそれに至る過程で世界は混沌とし、株価や為替相場、軍事情勢などあらゆる分野で不安定な状況を示しており、下手をすると一層先鋭化し、世界的規模にまで拡大しかねない危険性も秘めているので、中国・ロシア・アメリカ・EU・日本など当事諸大国の冷静で理性的な対話による解決、国際仲裁機構の権限と信頼の強化を通じたその裁定結果の尊重が必要であり、血気に逸った各国のエゴなナショナリズムの台頭と、短絡的な軍事的決着という愚行だけはなんとしても慎み回避したいものである。

 人類の歴史で戦争は絶えたことがなく、戦争は、それに対する危機感が人心の一新や民衆の結束にも有効な必要悪と考える旨も根強く、現代でも、社会主義国では仮想敵国を設定して国家統制の、資本主義国では、軍事特需を生み出す経済政策の常套手段としているが、果たして如何なものであろうか?

(2)人類終極の理想は平和、それに至る過程は闘争

 従来の欧米諸国間では「終極の理想は平和、それに至る過程は闘争」といった思考が支持され、戦争は国家間の名誉ある決闘として認めようとする考え方が潜在しているようだが、果たして戦勝により得た平和が持続し、経済的に利益があるものであろうか?

 現在世界では、欧米主導で制定された国際条約により、国家間の軍事闘争である戦争をする権利は国家間の名誉ある最終決着手段として許容されており、同条約で明確に規制されていることは、その戦闘手法に関する規定、つまり必要以上に残虐な原子核爆弾や化学兵器などといった非人道的大量無差別殺傷力を持つ禁止兵器の使用や降伏者の殺傷・虐待、奴隷的な使役、無防備非戦闘員子女や都市の無差別攻撃、広義的には、そのための共同計画・謀議とそれに参加すること、政治・人種・宗教上の迫害であり、これに違反すると戦時犯罪として罰せられる。

 第2次世界大戦で負けた日本に対する終戦後の極東軍事裁判では、戦勝連合国司法関係者主体で編成された裁判官により、日本だけが一方的に平和に対する罪とされ、13名が絞首刑を執行され、その他多くの者が戦争犯罪者とされたのだが、日本の敗戦が確実となった時点でのアメリカの原子爆弾や化学兵器の使用、平和都市の非戦闘子女の無差別爆撃、連合国側の密約謀議、日ソ和平条約を一方的に破棄したソ連の参戦と、未だに北方4島の占領状態を改めようとしないことなどの方が、むしろ戦闘法違反、平和への罪として裁かれるべきでなかったかと、近年になって世界の有識者間で問題視され、批判され見直しが求められているのも、この点についてである。

 有史以来人類の争いは絶えることなく、二度の世界的規模の大戦争も体験し、今再び、現代の国際情勢が、世界大戦勃発当時の状態に酷似し、第3次世界大戦の危機切迫との見解も持たれるようになっているが、高度情報化やグローバル化でモノ・カネ・ヒト・情報の自由化が進展するなど、地球自然環境や人類の価値観が多様で加速度的に変化し続けている今後の世界において、果たして、終極の平和に至る過程で戦闘は不可避なものであり、戦争により問題の持続的解決が可能となり、戦勝国側に巨大な経済的効果や利益をもたらすものとなり得るのであろうか?

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