- 2016年08月26日 09:00
チベット語検索「ダライ・ラマ」の結果は?
中国は今週、同国初のチベット語の検索エンジンを立ち上げた。国内で接続を遮断されている米国の検索エンジンに極めて似た面があるが、検索結果は大幅に制限されている。
中国国営メディアによれば、この検索エンジン「yongzin.com」の名前「云蔵」は、チベット語で「マスター」あるいは「教師」を意味する。サイト創設の狙いは、チベット語を話す人々が国内のオンラインコンテンツにもっとアクセスできるよう手助けをすることだ。
検索エンジンのロゴは、黄・青・緑・赤の帯で文字化されており、中国で閲覧が規制されているグーグルの文字に配色が似ている。しかし類似点はそれだけのようだ。
China's first Tibetan-language search engine seems to take design cues from Silicon Valley https://t.co/u8c8vbxyyt pic.twitter.com/QFI5HEyldA
— Te-Ping Chen (@tepingchen) 2016年8月23日
例えばチベット仏教最高指導者ダライ・ラマの画像を検索する場合、中国当局が以前「僧衣をまとったジャッカル」と呼んだ人物の画像にたどり着くためには、検索結果を何ページ分も探さないといけない。この間ユーザーが目にするのは、さまざまなチベットの芸術品の写真や公式記者会見の映像だ。「チベットは中国の一部だ」という言葉で飾られたサルコジ前仏大統領の画像も出てくる。
一方、テキスト情報の検索結果を求めるユーザーは「vtibet.com」などの政府系サイトに接続される。vtibet.comのサイトには、「国を管理するには、まず境界線を管理する必要がある。境界線を管理するには、まずチベットを安定化する必要がある」「共産党なしでは社会主義的な新チベットは存在しない」といったスローガンが大きな文字で掲げられている。
中国政府はダライ・ラマ14世を「反中国分離主義者」とみている。ダライ・ラマ14世は1959年、中国支配に反対したチベット人蜂起に失敗した後、インドに亡命した。チベット地域を出入りする情報の流れは中国当局によって統制されており、政府は現地の騒乱を非常に警戒している。
フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)のフランソワーズ・ロバン教授(チベット研究)が米グーグルとの対照比較を行ったところ、検索結果に顕著な違いが見られた。例えばグーグルで「チベット独立」をチベット語で検索すると、730項目の検索結果が得られたが、yongzin.comでは何も検索できなかった。また「Dharamsala(ダルムサラ=インド北部のチベット亡命政府の所在地)」を検索すると、yongzin.comではわずか17項目しか表示されなかったという。
ロバン教授は、大半のチベット人が仮想ネットワークを通じて中国の検閲システムを迂回(うかい)し、グーグルやウィキペディアに頼っていることを中国政府は認識しているとみている。「中国当局は競争していかねばならないと自覚している」と教授は話す。
グーグルはコメントしなかった。
中国国営メディアによれば、yongzin.comの検索エンジンは青海省海南県チベット情報技術研究センターが開発したもので、3年以上の期間と870万ドル(約8億7000万円)の費用をかけた。
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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