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実証された市民と野党共闘の力

〔以下の論攷は、日本科学者会議『東京支部つうしん』2016年8月10日号、に掲載されたものです。〕

 参院選では、与党が70議席を獲得して61議席という目標を越えました。改憲勢力も発議可能な3分の2の議席を突破しています。残念な結果に終わりましたが、同時に、新しい希望の光も見えました。それは市民と野党共闘の力が実証されたことです。

 昨年の安保法制(戦争法)反対運動では、SEALDsやママさんの会など市民が大きな役割を果たしました。学者や文化人も市民連合を結成して運動の発展に貢献しました。このような盛り上がりを背景に「野党は共闘」という声が上がり、全国32ある1人区で野党共闘が成立したのです。

 この野党共闘がどれほどの効果を生むのか。それが試された今回の参院選でした。初めての取り組みでしたが、大きな成果を上げたと言えるでしょう。

 第1に、野党側は東北、甲信越を中心に11の1人区で議席を獲得することができました。11勝21敗ですから、まだ「負け越し」ですが、それでも3年前の2013年参院選での2勝19敗に比べれば5倍以上の議席獲得になります。統一候補を立てなければ、このような成果は得られなかったでしょう。

 第2に、比例代表での各党の得票の「足し算」以上の得票を上げました。たとえば、山形(当選)1.71倍、愛媛(落選)1.66倍、長崎(落選)1.40倍、沖縄(当選)1.40倍など、28の1人区で合計を上回り、「共闘効果」が示されています。朝日新聞の出口調査では無党派層の6割、公明党支持者の2割、自民党支持者の1割も、統一候補に投票していました。

 第3に、与野党による一騎打ちの構図が有権者の関心を高め、1人区での投票率を押し上げるという効果もありました。3年前との比較では合区を除く30選挙区のうち、26の1人区で前回を上回っています。伸び率が高かった青森(9.06ポイント増)や愛媛(6.96ポイント増)は特に激戦となった選挙区でした。

 第4に、共闘に加わった各党にとっても、少なからずメリットがありました。民進党は改選議席を維持できなかったとはいえ前回の17議席をほぼ倍増して32議席となり、共産党も改選議席を倍増させて8議席を獲得しています。社民党は改選2議席を維持できませんでしたが、比例区の得票を28万票増やしました。

 最もメリットが大きかったのは生活の党だったかもしれません。事前の推計ではゼロとされていた比例代表で1議席を獲得し、1人区でも岩手と新潟で党籍のある候補が当選しています。統一候補でなければ、2人の当選はおぼつかなかったでしょう。

 このように、市民が野党と協力・共闘することによって統一候補の擁立に成功しただけでなく、積極的に選挙活動にも取り組んで与党と互角に渡り合える新たな可能性を切り開きました。今後の首長選挙や衆院補選、来るべき総選挙でも野党共闘を維持・発展させなければなりません。参院選の最大の成果は、このような形でアベ政治の暴走をストップさせる新しい力を誕生させたところにあったのです。

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